米報道社が伝えたところによると、米Apple社は、タイムワーナーケーブルなど米国三大ケーブル業者社へ提供する有料TVサービスを検討しているという。この計画は8月14日に同社がメニューオーバーレイやナビゲーション技術「Menu overlay including context dependent menu icon」の特許申請が下りたことで進んだと言われている。

同社はApple TVをセットトップボックス(STB)として提供し、ライブTVサービスを行ってもらうのか、新しい専用のSTBも開発するのかは現時点では明らかにしていない。既存のApple TVは、NetflixやYouTube、iTunesなどOTTサービス経由でコンテンツを再生できるようになっているが、未だライブTV番組を放送できるようにはなっていない。三大ケーブル事業者達は、マルチスクリーンサービスを展開するにあたり、独自アプリを開発してiPadで番組を視聴できるようにしたり、またiPadを視聴デバイスとして提供するなど、Apple社をコンテンツ提供社として直接の関係を築くよりも、むしろApple社側のエコシステムに自社サービスを組み入れる格好をとっている。

報道から読みとれるのは、Apple社が独自の有料テレビサービスを展開するのではなく、有料テレビ事業者との協業を追求しようとしているという新たな展開だ。同社は今年初めに、AT&Tやベライゾンなどテレコム業者達に同様のアプローチをしていたことをブルームバーグが2月に報道している。過去に似たような展開を行ったのは米マイクロソフト社だ。マイクロソフトは過去にXbox360をSTBとして独自の有料テレビサービスを計画したが、莫大なコンテンツ配給会社との提携費を懸念して断念している。

(山下香欧)