スウェーデンのエリクソンは、市場先行してHEVC/H.265ライブエンコーダをIBC2012にて初公開する(ブース番号:ホール1 1.D61)。
次世代高圧縮映像符号化技術「HEVC (High Efficiency Video Coding)」はH.264の次世代圧縮技術としてH.264/MPEG-4 AVCに比べて50%以上のビデオ配信に必要な帯域幅を削減するという。2013年までに標準規格が決まる予定で、最終的な国際基準のドラフトは7月に公開されている。同社初のH.265ライブエンコーダ「SVP 5500 HEVC」は、HEVC技術の利点を活かしたモバイルネットワークオペレーター(MNO)向けのエンコーダとなる。
モバイル端末へのビデオ配信トラフィックは、2016年までにはトラフィック全体の30-40% になるとみられている。増加していくモバイル端末での映像配信の環境には、HEVCのように更なる高圧縮技術が必須であることは予測できる。エリクソンのテレビ関係ソリューション担当最高技術管理者であるジル・ウィルソン氏によると、当ライブエンコーダは現行よりも画質を向上しながらも、配信帯域を50%ほど節約することができるという。また新規格へ適応させるための仕様に加え、MPEG-DASHにも対応している。SVP 5500は今年末までには出荷される予定。
HEVCは今後OTT環境にも対応する仕様も含まれてくるだろうが、エリクソンでは市場の帯域危機を見据え、先駆けてモバイル市場向けとして焦点を当てた。HEVCの利点が活かさず実装すると、H.264よりもパフォーマンスが劣る結果になる恐れがある、とウィルソン氏は告知している。HEVCエンコーダに関しては、Harmonic、Envivio社など同市場の製品メーカーからもIBCで初お目見えするようだ。
(山下香欧)