米ウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨークタイムズなど米報道機関から、米Apple社が新たにストリーミングラジオを始める動きがあると報道されている。
同社は現在、レーベル会社数社とコンテンツ著作権の交渉を行っているという。同社が展開しようとしているサービスは、SpotifyやPandora Mediaのサービスと似ているもののようだ。米国では、ブロードバンド接続のある家庭の42%がインターネットラジオを利用しているというように、音楽を一曲ずつ購入するiTunesストアのモデルから、通常のラジオのように流れてくる曲を楽しむものに人気が移行してきている。
Appleは現在、iPodでFMラジオサービスを行っており、iPhone、iPadといったほかのiデバイスでは、インターネットラジオチャンネルやユーザー定義に基づいてカスタマイズされた音楽ストリームを配信できるアプリなどを提供している。
今回話題に上がっているサービスは、iOSモバイルデバイスやMacデスクトップのほか、WindowsベースのPCまで、マルチプラットフォームに対応する予定。しかし情報ソース曰く、Android OSベースのデバイスは対応外だという。
どのようなアルゴリズムを利用するかは分からないが、ユーザーの好みのアーティストや曲名やジャンルを探し出して提供するシステムが組まれるという。たとえばインターネットラジオ市場全体の収益の80%を占めるPandoraは音楽ゲノムプロジェクトという研究が基礎になっており、ユーザーの好みの音楽に似た曲を探してくる機能を備えている。
SpotifyやPandoraに似て、Appleの新サービスはiAd(モバイル広告プラットフォーム)経由で広告挿入を展開する予定ではいるが、先行会社のサービスのように無料広告サービスや、またユーザー側で広告配信を止めるオプション機能は予定していないようだ。また広告収入をレーベル会社とシェアするか否かも明らかではない。
報道では、Appleのレーベル会社への交渉もまだ始まったばかりという。アナリストの間では、「Pandoraはインターネットラジオ事業で大成功を収めている。また市場には、Spotify、iHeartRadioや Last.fmも存在するが、加えて新しいサービスのニーズがあるかは疑問だ」という。
(山下香欧)