米書店大手のBarnes & Noble社(バーンズ&ノーブル)は9月26日(現地時間)、同社のタブレット端末の新モデル2機種を発表した。OSにAndroid 4.0を採用した、9インチの「Nook HD+」、7インチの「Nook HD」で、それぞれは269ドルと199ドルで10月下旬から発売する予定。
新モデルは最大314グラムというハードウェアの軽量化を図ったほか、ホームスクリーンのデザインを一新し、「スクラップブック」でコンテンツを雑誌のページのように保存できる機能、ユーザーごとにプロファイルを設定できる機能のほか、「Nook Video」という新たなビデオストリーミングサービスを開始する。9月上旬には、アマゾンが新型Kindle Fireを発表、9月25日にはGoogleが7インチタブレット「Nexus 7」の販売を開始しており、それぞれ電子書籍サービスとの相乗効果を狙っている。マイクロソフトからWindows8ベースのタブレットが発売する予定もある。
バーンズ&ノーブルでは、”[The HD+ is] nearly half the cost of the leading large-format tablet, [and] both products deliver an amazing value for customers, with no annoying ads.” とプレスリリースで示唆しているとおり、Appleとアマゾンをタブレット市場の最強のライバルと絞っている。
つまり、”leading large format tablet”は499ドルのApple iPadのことで、”annoying ads” は、10ドルで広告フリーのオプションサービスを提供しているアマゾンに対抗して無償をアピールしている。
iPadとKindle Fireとのハードウェア面での最大の違いは、カメラを実装していないことだ。バーンズ&ノーブルの最高経営責任者であるウィリアム・リンチ氏いわく、「低価格・軽量化を目指すに当たり、カメラ実装は避けた。というのも、99.9%のタブレット所持者は、タブレットに実装されているカメラよりも高性能なカメラが搭載されているスマートフォンを所持している事実があるから」、と語っている。
またアマゾンのKindle Fire HDは、4G LTEに対応している。ディスプレイ解像度の比較では、Nook HD+はKindle Fire HD 8.9″を25%ほど上回る1920×1280ピクセル、256PPIのディスプレイを搭載し、720p映像に対応。さらに64GBまでのmicroSD カードスロット実装など、Nook側の有利な仕様もみられる。
米リサーチ会社IHS iSuppliによると、第二四半期でのタブレット販売では、10台のうち7台はiPadであったという。アマゾンがタブレット市場の4.2%、Barnes&Nobleは1.9パーセントのシェアを持つ。
タブレット市場は急速に高まっている。米リサーチ会社フォレスター・リサーチによると、アメリカ人の成人の三分の一という推定1.125億人が、2016年までにタブレットを所持するという予測をしている。
(山下香欧)