ローランド株式会社はさる11月6日~7日に開催した自社新製品披露会「ローランド Inter BEE 2012 プレビュー」にて、11月14日より幕張メッセで開催される国際放送機器展に出品予定の音響/映像の新製品を先行して発表した。今回発表された製品は、ビデオコンバーター「VC-1シリーズ」、マルチフォーマットスイッチャー「V-40HD」、ライブ・ミキシング・コンソール「M-200i」、8chポータブルレコーダー&ミキサー「R-88」。この他、アプリや既存製品アップデートも発表された。ここでは新製品に焦点を当てて紹介しよう。
V-40HD
マルチフォーマット・ビデオスイッチャー「V-40HD」は2012年12月下旬発売予定、希望小売価格は税込み388,500円。4チャンネル×3種類の入力を装備、各入力にそれぞれ「HDMI」「RGB/コンポーネント」「コンポジット」の3種の入力端子が装備されているため、最大で12台の映像機器を接続できる。PCからの入力が4系統利用可能なのでセミナーなどの収録でも重宝しそうだ。出力は3系統で、「HDMI」「RGB/コンポーネント」「コンポジット」から選択して出力できる。1080/60p、1080/60i、4:4:4/10bit処理に対応。高精細なカメラやPCの映像を余すことなく表現できるとしている。なお出力処理は4:2:2/8bit。
HDCPモードも搭載し、HDCPで暗号化された出力信号のスイッチングや合成も可能だ。カメラの映像とブルーレイディスクプレイヤーの映像を合成する、というような映像制作にも対応する。HDCPモード時、DVI-D/HDMI出力のみ使用可能。もちろんDVI-D/HDMI出力に接続するディスプレイやプロジェクターは、HDCP対応のものが必要なので注意。
VC-1Series
ロスレス変換のミニコンバーターシリーズ「VC-1」が3機種ラインナップ。2013年3月上旬の発売予定で、希望小売価格は未定だが、SDI→HDMIコンバーターの「VC-1-SH」およびHDMI→SDIコンバーターの「VC-1-HS」が5万円前後、ディレイ/フレームシンクロナイザーの「VC-1-DL」が10万円前後を予定。従来の他社製品と比較して画質にこだっているという。スーパーブラック、スーパーホワイトにも対応し、カメラやソース機器の映像表現をそのまま変換できるほか、SDI信号を長距離延長した場合の減衰をカバーするリクロッカーを搭載しカメラ中継の映像も高画質のまま受け取ることができるとしている。ラインずれなどの変換トラブルや信号エラーの発生もないという。1080pの3G-SDIはレベルA/レベルBともに対応し、多様な3G-SDI機器との接続も可能だ。入力信号は自動認識する。
外装プレートには、厚さ2㎜のアルミ素材を採用したヘビーデューティー仕様。端子部も本体ケースにネジ止めやナット固定されている。各端子にはLEDの入出力インジケーターを配置しており信号状況を一目で確認可能だ。本体は放熱効率の良い設計により長時間の連続使用でも高温にならないよう考慮されているようだ。VC-1-DLではHDCPにも対応しており、入力したHDCP付きHDMI信号を、ディレイさせたりフレームシンクロナイズして、HDCP付きでHDMI出力、テレビやプロジェクターなどに入力できる。同社によると同クラスの製品としてHDCP対応は世界初としている。オーディオ・エンベデッド機能およびオーディオ・ディエンベデッド機能、デジタル(AES/EBU)入出力にも対応する。
本体側面にはディップスイッチが搭載されており、ピンなどでスライドさせることで変換の方向性などの設定が行える。PCとVC-1をUSBケーブルで接続し、PC操作で詳細に設定することも可能だ。設定用のソフトウェアは、同社Webサイトよりダウンロード配布を予定している。
V-Mixer M-200i
24ch のアナログ入力/ 12ch のアナログ出力、2chのAES/EBU出力など、豊富な入出力端子を装備したライブ・ミキシング・コンソールM-200iは2013年1月下旬発売予定、希望小売価格は税込299,250円。
デジタル伝送「REAC」で、従来のV-Mixer同様に自由に入出力を拡張できる。内部は32ch入力+メインLR/8AUX/4マトリクス出力、さらに8系統のDCAグループ、ディスクリート設計のヘッドアンプと、高精度のチャンネル・プロセッシング。マルチエフェクトも4基搭載し、最終段での音響補正に欠かせない31バンド・グラフィックEQも4基装備。USBメモリーを活用したWAV収録/再生、PC/Macからのリモート・コントロール、DAWレコーディングにも対応。操作パネルとしてiPadを利用しWi-Fi経由のコントロールが行えるため、たとえばホールの客席中央で音を聞きながらワイヤレスで調整し、本番では有線接続して利用するといった使い方もできそうだ。もちろんiPadはなくても本体だけでも操作可能。
R-88
ポータブルレコーダー&ミキサーの新製品として、R-88が登場する。2013年1月下旬発売予定で、希望小売価格は税込み220,500円。Rシリーズのフラッグシップモデルとして位置づけられている。8ch入力と2ミックスの合計10チャンネル同時録音を実現、内蔵のデジタルミキサーで録音と同時に2ミックスを作成可能だ。入力端子はXLR×8系統装備、いずれもマイクレベルからラインレベルに対応し、各入力独立でコンデンサーマイクにはファンタム電源を供給可能。出力端子は側面にXLR×2系統とステレオミニタイプのミックス出力端子を1系統、背面にXLR×6系統が配置されている。内部ミキサーでミキシングした音声を出力できる。
レコーダー部は24bit/96kHzの高音質で8ch+2ミックスをSDHCカードに同時録音できる(24bit/192kHz時は最大4ch)。記録はSDメモリーカードを利用し、最大32GBのSDHCメモリーカードまで対応する。R-88で録音したプロジェクトのデータコピーが行えるUSB MEMORY端子のほか、PCと接続可能なUSB COMPUTER端子を搭載しており、R-88をオーディオインターフェースとしても使用可能。たとえばPro Tools用インターフェースとして利用しつつ、R-88のバックアップ収録を行うなどの用途にも活用できそうだ。