NTTグループがInterBEE2012にて出展しているブースでは、4K(3860×2160)およびHD映像をHEVC(High Efficiency Video Coding)フォーマットにデコードする際のレート制御技術とその画質比較を紹介している。(ブース番号6401)

4KとHD映像とも採用している圧縮アルゴリズムは同じで、4K映像では、30fpsと50fpsのフレームレートに様々なビットレートでデコードし、HD映像では30fps固定でビットレートを変えてデコードしたものをディスプレイしている。HD映像に関しては、HEVC参照ソフトウェアHMにNTT研究所が開発したレート技術制御と局所QP変動技術を実装した映像と、HMおよび標準搭載レート制御技術でデコードした映像を比較対象としてディスプレイしている。

レート制御技術とは、CBRで配信する一定帯域の回線にて安定した映像配信を行うために適切な符号量配分を行う技術で、デコーダ側のバッファがオーバーフローもしくはアンダーフローにならないようにエンコーダ側で映像ストリーミングの符号量の割り当てを調整するというもの。ピクチャタイプごとに適切な符号を割り当てることで高画質を保つ。

局所QP変動処理では、肉眼では歪みが気づきにくい領域で量子化精度を荒くすることで、画質の損失を抑えながらも圧縮率を向上させるというもの。人の顔など平坦でありながら部分的にエッジがあるものは画質劣化が起こりやすい。NTTの処理技術では、そういった部分を含む広い範囲の画質性質で量子化精度を調整できるという。

NTT研究所のデコード技術はソフトウェアベースで、今回はWindows7のOSにIntel互換のCore-i7(8コア)を搭載したPCで処理を行っている。マルチスレッドおよびCPUパワーによりHD映像はリアルタイムでデコードできるという。

今後、年内に評価版の提供を開始し、2013年6月には正式にリリースを予定している。当初は編集ソフトウェア開発会社が利用すると見込んでいるという。

(山下香欧)