米Viggleは、ソーシャルTVアプリの開発会社GetGlueを約8000万ドルで買収することが明らかになった。取引は株取引と現金2500万ドルで行われる。この発表があった後、Viggle社株の取引価格は10%も引きあがった。同社は2010年に設立、会長のロバート・シラーマン氏は、ライブエンターテイメントプロダクションのSFXブロードキャスティングとSFXエンターテイメントを立ち上げた人物でもある。

実は今週初めには米国市場調査会社でもあるニールセンがソーシャルTVの測定技術を持つSocialGuide社を買収している。米国ではソーシャルTV市場の成長度は無視できないものとなっている。セカンドスクリーン向けのソーシャルTVアプリを採用しているテレビサービス関連事業者は少なくない。YahooのIntoNowや、Comcastとバイアコムが支援しているZeebox、そしてAT&TのU-verseサービスでは、BuddyTVガイド、MisoとTV Foundryなど数社のソーシャルTVアプリと連携している。

GetGlueでは、ユーザーは番組や映画などを”チェックイン”するたびに特別なバーチャルステッカーがもらえ、それらを収集することで配給会社より特別な割引やクーポンがもらえる。20thセンチュリーFoxをはじめ、AMC、ABC、ディズニー、ディスカバリ、ESPN、FOX、HBO、MTV、ソニーピクチャーズ、ユニバーサル、ワーナーなど、ほとんどの大手配給会社がパートナーとなっている。

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米国のトップ衛星放送事業者DirecTVでは、GetGlueのソーシャルTV技術とViggle両方をサービスに取り入れていた。加入者は、リモートコントローラーを使ってGetGlueで番組を”チェックイン”すれば、知り合いがどんな番組や映画を観ているのかが一目で分かる。

DirecTVはこの8月にViggleとタイアップしてポイント制度を作り、Viggle経由で番組などを観た場合にたまるポイントで有料映画コンテンツを観られるサービスを開始した。Viggleは今回の買収の理由として、GetGlueのユーザー層を入手したかったことと、Viggle側のロードマップにある必要としていた技術を持ち合わせていたことを挙げている。

Viggleのユーザー登録者数は1200万人で、対してGetGlueは3200万人となっている。買収後も当面、GetGlueのブランドはそのままにして、両社の事業を管理していくという。GetGuleに1200万ドルほど投資をしていたタイムワーナーは、今回の買収で利益が生まれる。

(山下香欧)