春のNABで発表された、米RED Digital Cinema の4Kシネマプレイヤー「REDRAY」がようやく予約販売の開始となった。家電市場でも4KウルトラHDディスプレイが大手メーカーからそろって登場しており、ファイバネットワークのOTTサービスを利用した4Kホームシアターを構築できるとしている。
REDRAY本体価格は1450ドル(Redcine X Pro ソフトウェアの1ライセンス付)。正式出荷は来春の予定だが、先行ユーザーには年内に提供する見込み。
映画作品が4Kで制作されていてもブルーレイのフォーマットだと8ビット4:2:0に制限されてしまうが、REDRAYでは12ビット4:2:2(YCbCr/RGB 8ビット4:4:4)で再現する。
REDRAYは、4096×2160(DCI)または3840×2160、1080p、720pの再生(.REDファイルフォーマット)またH.264 HDフォーマットのアップスケーリングが可能。また、4K3Dではハイハイフレームレート(48fps/60fps)にも対応するという。4K ウルトラHDディスプレイとはHDMI 1.4ポートまたは4系統のHDMI 1.3ポートを使って接続する。7.1サラウンドオーディオ用(LPCM、24-bit 48kHz)にも1系統のHDMIが搭載。本体に操作ボタンはなく、専用の赤外線リモートコントローラもしくはiPadアプリからリモートコントロールする。
REDRAYで再生できる4KコンテンツはREDCrypt.の暗号化された独自.REDファイルフォーマットのみとなる。4Kコンテンツは、Redcine X Proソフトウェア(プラグイン)で.REDフォーマット化する。ライセンスベースでフォーマット変換ごとに20ドルかかる。
4Kコンテンツは.REDファイルフォーマットで圧縮されると2.5MB/s (20Mbps)程度に収められるため、USBフラッシュやSDカードでも配信できるうえ、OTT(Over The Top)でREDRAYにストリーミングすることも可能だ。本体に搭載されている1TBのSATAドライブには、100時間もの4Kコンテンツを記録しておける。
4Kコンテンツをホームシアターとして楽しむための仕組みとして、REDは4Kコンテンツ配給ネットワークOdemax.comと提携し、光ファイバベースのOTT配信システムを構築する。コンテンツ製作者はOdemaxと契約をして作品を配給してもらう。Odemaxは収入から3割を手数料として回収する仕組み。
またコンテンツが一般劇場にも向いているとなれば、Odemax側が直接、ボックスオフィスへ交渉するという。この場合の収入割り当ては、劇場側が2割、Odemaxが3割、コンテンツ著作権保有者が5割となる予定。OdemaxはREDスーパーユーザーでもある視覚効果スーパーバイザーのJon Farhat氏が運営している。
OdemaxはDRMから販売・解析ツールまで組まれた包括的な4K配信エコシステムとなり、REDでは自社4Kカメラを使って製作された4Kコンテンツの浸透を促進させるべく、消費者側の市場へも拍車をかける。ちなみにREDは2010年初頭にハリウッドにあるスタジオハウスRen-Marスタジオを買収し、ホールサイズのステージ含む5スタジオスペースを施設内にもつ Red Studio Hollywoodとして運営している。
尚、NABにてREDRAYと揃ってお目見えしたREDレーザープロジェクターの進捗は明らかになっていない。REDは、来月開催されるサンダンス映画祭にて、プロジェクターとOdemaxの詳細を明らかにする模様。Odemaxからの配信サービスが開始されるのは2013年3月以降となっている
REDレーザープロジェクター
(山下香欧)