KDDI株式会社、株式会社KDDI研究所、株式会社ジュピターテレコム(J:COM)の3社は、2K、4K、8Kの超高精細映像をまとめて高圧縮かつ階層的に扱える映像圧縮符号化方式を開発し、ケーブルテレビ網を利用した伝送実験に世界で初めて成功した。今回の技術開発研究は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究「超高精細映像符号化技術に関する研究開発の一環として行ったもの。
KDDIおよびKDDI研究所が開発した映像圧縮符号化方式は、超高精細映像において効果的に働く符号化機能を新たに導入した独自方式という。8K映像をH.264で圧縮すると160Mbpsにもなるが、今回の圧縮技術では70Mbpsにまで圧縮できるという。これはHEVCと比べても12~13%ほど圧縮率が優れている。
超高精細映像をまとめて圧縮する技術は、各解像度の映像の差分情報を用いて圧縮する階層符号化で実現した。HDTV映像は8Mbps(1チャンネル分)、4K映像はHDTV映像との差分のみに圧縮を行い(20Mbps、1チャンネル分)、8K映像は4K映像との差分のみを同じく対象とする(62Mbps、2チャンネル分)。従来であればケーブルテレビ8チャンネル分を必要とするところを4チャンネル分の帯域だけで可能となる。
今回の実験では、これら差分情報(合計90Mbps)をDICSIS IP網を介して、練馬のJ:COMから40キロ離れた丸の内のJ:COM側へ伝送した。J:COM丸の内オフィスでは伝送をDOCSIS3.0対応モデムで受け、その映像をそれぞれ8K対応プロジェクタ、4K対応TVとHDTVで再生できたとしている。従来のDOCSIS3.0というケーブルインターネット伝送技術およびケーブルテレビ機器を活用して、超高精細映像をまとめて伝送できたことは、今後の普及に大いに貢献する。
ネットワーク構成
KDDIおよびKDDI研究所では、今後も引き続き伝送実験を行い、また大型モニターを使用するパブリック・ビューイング等でのイベントを通して利用者動向を探っていく。加えて、これまでの方式検討結果を国際標準方式のHEVCによる4Kおよび8K映像の圧縮方式に適用することを目指す。HEVC階層方式などについては、国際標準化への提案も視野に入れているという。
(山下香欧)