嘗てから噂されていた米IntelのIPTVサービスが明らかになった。今週13日(現地時間)にカリフォルニアで開催されたAllThingsDigitalが主催する「D: Dive into Media」カンファレンスにて、Intel Media事業担当のエリック・ホッガー副社長が年内にもIPTVサービスを開始する予定を明らかにした。ホッガー氏は以前BBCにて、独自IPTVサービス”BBC iPlayer”を扱うフィーチャーメディア部門を統括していた人物。IntelではIntel Media事業部を立ち上げ、BBC、Appleやマイクロソフト、Netflixなどから有能なエキスパート達を取り入れて、IPTVプラットフォーム構築を進めてきたという。
サービス専用のセットトップボックス(STB)は、Intel製のチップを搭載し、内蔵カメラでテレビの前の視聴者を認識できる仕様を実装するという。カメラを使ってのお互いの顔を見合わせてのテレビ電話的な機能や、ソーシャル機能を盛り込むことも検討している。IPTVサービスの内容については詳しく説明がなかったが、ライブTV、オンデマンドのほかにも付加価値をつける模様。
Intelはチップメーカーとしてコムキャストやリバティ・グローバルなど、ケーブル事業者のSTBへAtomチップを供給しているが、独自ブランド名をバッチにつけたSTBを市場に投入するのは今回が初めて。
同社のサービスはOTTサービスになるが、ケーブルカットが盛んな近状、有料TVサービスプロバイダと競合することは目に見えている。STBではApple TVやRoku、そしてOTTではNetflix、Huluなどが既に市場に存在する。現在、どのようにライブTV、キャッチアップTVやオンデマンドサービスをオールインワンにしたIPTVサービスを行うかを、放送事業者たちと進めているという。
Intelはテレビ市場への取り組みは今回が三度目となる。2008年にはYahooと組んでインターネットウジェットチャンネルを開始、2010年にはGoogle TV製品のプロセッサとして採用された(初代のGoogle TV製品。昨年からはMarvell Techのプロセッサが採用されている)。
今回は、新しくブランド名をつけ、消費者市場へ直接投入する。市場への後発組ではあるが、「ユーザーが望むコンテンツと仕様をバンドルすれば、現在よりもユーザーが使いやすい、柔軟な環境を提供できるサービスになると思っている」とホッガー氏は語っている。
(山下香欧)