Blackmagic Designの発表によると、サンフランシスコに拠点を置くプロダクション/ポストプロダクション会社、アメリカン・ゾエトロープ社と、VFXを専門とするSPYスタジオが、ロマン・コッポラ監督の最新作「A Glimpse inside the Mind of Charles Swan Ⅲ」のカラーグレーディングに、DaVinci Resolve LiteおよびDaVinci Resolveを使用しているという。
まずアメリカン・ゾエトロープ社にてフリーランスのカラリスト/VFXアーティストのライアン・ボザジアン氏がコンフォームと初期のカラーコレクションを行い、その後フッテージがSPYへ送信され、最終的なカラーコレクションが施された。ボザジアン氏と、アメリカン・ゾエトロープ社のデジタル・ポストプロダクション・マネージャーであるシン・コーエン氏は、SPYのテクノロジー部長、スティーブ・マフィオンカルダ氏、同スタジオのシニアカラリストのクリス・マーティン氏とシステム構成に関して緊密に協力。SPYのスタジオへシームレスに移行させることで、Resolveでの最終的なカラーグレーディングを実現した。
同プロジェクトは、劇場公開、DCI (デジタルシネマ・パッケージ)、ビデオマスター用にResolveからエクスポートされたが、この際、同カラリストチームは各バージョンのニーズに応じてResolveのLUTをオン/オフできる機能を重宝したという。
カラリスト/VFXアーティスト ライアン・ボザジアン氏:私たちは、各ノードがそれぞれ特定の意味を持つようワークフローを構築していたので、プロジェクトを渡した時点で、クリスがすぐに把握できるシステムが出来上がっていました。Resolve特有のフレキシビリティのおかげでスタジオ間をスムーズに移行できたことは、今回のプロダクションで大きなメリットでした。
シニアカラリスト クリス・マーティン氏:私たちは、まずゾエトロープのスタジオで大まかなカラーコレクションを施すことで、SPYでの最終的なDIを効率化することを目標として、ゾエトロープのグレーディング環境を可能な限りSPYのDIシアターの環境に近づけました。
プレグレーディング
最終グレーディング
2つのシステム間の互換性により、SPYでは再コンフォームやCDL(カラー・デシジョン・リスト)の変換、プロジェクトの再グレーディングが不要となり、その代わりにResolveのPower Window機能を使ってオブジェクトのシャープネス強調やカスタムカーブによるハイライトを残したままのコントラスト維持、マルチポイント・トラッカーを使った効率化によってプロジェクトを微調整。この共同作業により、アメリカン・ゾエトロープは時間と予算を有効活用して最終的なDIと納品用にさまざまバージョンを作成できたという。
アメリカン・ゾエトロープ シン・コーエン氏:プレグレーディングは時間がかかりますが、専用のDIスイートで行なう必要はありませんので、自分たちのオフィスで2週間かけてプレグレーディングしました。コッポラ監督はプレッシャーを感じることなく弊社カラリストのライアンと作業できたのです。自分たちの時間と予算を最大限に活用しつつ、作品のフィニッシングは最適なDI設備で行なえました。まさに完璧なコンビネーションと言えるでしょう。