米ブロードキャスト・スポーツ社(BSI)で開発したワイヤレスのPOVカメラシステムが、3月30日に行われたフランス・ラグビートップ14でのトゥーロン(Toulon)vsスタッド・フランセ(Stade francais)試合で始めて実用され、圧倒的に良い反響が得られたという。放送した仏カナル・プラス(Canal+)でも初の試み。またこのPOVカメラからの映像は審判判定としての役目も果たしたという。
このPOVウェアラブルカメラは、所謂「レフ・カム(Ref-Cam:審判カメラ)」で、審判にミニサイズのHD POVカメラと専用トランスミッタを目線に合うように装着するシステムになっている。フィールドでの熱戦に一番近い距離にいる審判から観る実況中継が、テレビ画面に映し出される。POVカメラとトランスミッタは、専用のベストとヘッドストラップで審判に装着してもらうが、2分もあれば完全に装着してフィールドへ出向ける。
レフ・カムのカラーバランス、サチュレーション、ブラックレベル、ディティールなどの調整は、映像運用側で逐次リモート制御できるようになっている。またバッテリー消耗をセーブするためにトランスミッタのオンオフも制御できるため、試合中にバッテリーを交換するようなこともなく、一試合をフルにカバーできる。
BSIでは今回の事例を基に、多様なケースで利用できるようにレフ・カムに追加機能を検討しており、今回は現場でPTRZ(パン、チルト、ロール、ズーム) 機能搭載のPOVカメラをラグビーポール上にも付けて、キックオフやボールがインゴールに入る模様などをバードアイで収録した。また米FOXスポーツでも2月に放送したスーパーラグビーでも、審判カメラを起用している。
(山下香欧)