韓国サムスンディスプレイが、米コーニングに23億ドルを投資し、コーニングの転換優先株を取得することが明らかになった。また、コーニングとの合資会社でLCDグラスを製造しているサムスンコーニング精密素材の持ち株43%は、すべてコーニングが自社株買い方式で取得するという。両社は、このような動きで双方の協力関係を強化し、包括的事業協力をしていくことに合意している。

サムスンディスプレイが受け取る優先株は、7年後にコーニング社の普通株に引き換えることができるという。この場合、コーニング社株全体の7.4%にあたるため、サムスンは国内で最大のコーニング株保有会社となる。

サムスンディスプレイの関係者は「今回の契約で、LCD基板用ガラス製造が中心だった両社の協力関係が一段階格上げされる」とし、また「今後、新事業でも両社の強みを生かしてシナジー効果を創出できるだろう」と述べている。

コーニングは、米AppleのiPad、iPhoneや、サムスンのGalaxyなどに利用されている強化ガラスの「ゴリラガラス」を製造している会社だ。また、ソニーや中国のレノボなどにLCDパネルを供給している。“シナジー効果”というのは、今後、共同開発を進めていき、ウェアラブルデバイスなどで活用できるプラスチックパネルなど、市場先端の技術を世の中に送り出すことも秘めている。これはサムスン自身でも開発を進めているスマートウォッチにも良い影響を及ぼすものと予測されている。

コーニング側が現地時間30日に発表した第3四半期決算は、携帯端末向けの強化ガラスと光ファイバー製品の販売が好調だったことで、売上高と調整後の1株利益が予想を上回った。

今回のサムスンコーニング精密素材を完全子会社にする手続きが、2014年第1四半期に完了するとし、これにより特別項目を除く年間利益が約3億5000万ドル押し上げられるとの見方を示している。

(山下香欧)