Blackmagic Designの発表によると、英国車・ジャガーのショートフィルムシリーズ「FType,Your Type」のカラーグレーディングにBlackmagic DesignのDaVinci Resolveが使用されているという。カラーグレーディングは、上海を拠点とするMZ Post Productionのオーナー兼カラリスト、アーロン・カオ氏が担当した。登場する3人の夢の追求を描く3編のエピソードで構成される同シリーズは、中国国内の劇場およびウェブサイトで公開されている。

監督にクリス・リード氏を迎え、ジミー・リン、ホウ・ホングラン、ニー・ニー、そしてジャガーのコンバーチブル・スポーツカー「Fタイプ」が主演となる同ショートフィルムは、中国最大手のプロダクション会社のひとつ、Gwantsiによって制作された。カラーグレーディングのスケジュールは限られたものであったが、制作チームはこの3編のショートフィルムで、ジャガー・Fタイプの優雅な気品を映し出すことを目指した。

ジャガー・Fタイプの理想的なルックを作り上げる。これが、クリス・リード監督にとって最も重要なポイントだった。また、収録された映像はトーンが一定ではなかったため、ジャガー・Fタイプの魅力を存分に映し出す完璧なルックを実現するには膨大なカラーコレクションが必要だった。

カラーグレーディングを担当したアーロン・カオ氏は次のようにコメントしている。

カオ氏:フィルムの中でジミー・リンが運転するFタイプはオレンジ色でしたが、収録した映像はフラットなものでした。また、異なる照明が使用されたシーンでは車の色に違いが出てしまったのです。

クリスは、リアルなイメージが損なわれないよう、すぐにセカンダリーカラーコレクションを行うのではなく、まずはプライマリーカラーコレクションに十分な時間を費やして色を補正することを要求しました。

それによって作業は複雑になりましたが、DaVinci Resolveのツールのおかげで、私はクリスの要求に対し常に柔軟に対応することができました。

今回は、カーブをカスタマイズすることで車の色をプライマリーカラーコレクションで調整し、より自然でリアルなイメージを実現できたのです。

さらにカオ氏は、DaVinci Resolveのノードベースのグレーディングが効率的なワークフローの鍵となったことを指摘する。

カオ氏:クリスがグレーディングの微調整を要求するたびに、私は彼のOKサインが出るまでノードを追加・削除し、簡単に調整を行うことができたのです。

ショットのグレーディングに複数の選択肢があり、クリスがそれを決めかねているような状況もありました。そんなときは、DaVinci Resolveでノードのオン・オフを切り替えて、グレーディング結果を確認してもらいました。この作業は、彼がより簡単に、かつ迅速に決断を下すのに役立ちました。

カラーグレーディング前
カラーグレーディング後

カオ氏:Fタイプのショートフィルムのようなプロジェクトでは、フラグ付けも効率的です。この機能で、膨大な数のショットの中から必要なショットやグレーディングを素早く見つけることができるんです。

グレーディングの前に、クリスがキーとなる重要なショットや、問題のあるショットを見つけたりしていていた時、私はそれらの重要なショットには赤いフラグを、問題のあるショットには青いフラグを付けたんです。グレーディング中も、異なるグレーディングにはフラグを付けていきました。そのおかげで、クリスがショットやグレーディング結果を確認したい時に、私はすぐに必要なものを探し出すことができました。

DaVinci Resolveのオブジェクトトラッキング機能も多用しました。私はトラッキングしたい対象を指定するだけで、あとはDaVinci Resolveが自動でトラッキングしてくれました。この機能で時間を大幅に削減できました。

監督のクリス・リード氏は次のようにコメントしている。

リード氏:私は3編の作品の最終的なルックに大変満足しています。DaVinci Resolveは、良いショットを素晴らしいショットに、そして素晴らしいショットを驚くほど素晴らしいショットに変えてくれるんです。