株式会社サードウェーブデジノスは12月17日、米3D Systems Corporation(3Dシステム)と一次代理店契約を結び、3Dプリンターの販売を始めることを発表した。製品はサードウェーブデジノスが契約する販売代理店や、法人営業を行う関連会社であるサードウェーブテクノロジーズ、小売店であるドスパラを通じて販売する。
サードウェーブデジノスが取り扱う3Dプリンターは、粉末焼結積層型で企業向けの「ProJet x60」シリーズで、エントリーモデルの「ProJet 160」「ProJet 260C」、スタンダードモデルの「ProJet 360」「ProJet 460Plus」、ハイエンドモデルの「ProJet 660Pro」「ProJet 860Pro」がある。価格は218万円から。
熱可塑積層型で個人向けの「Cube」シリーズは、「Cube」の価格が16万8000円、「Cube X」「Cube X Duo」「Cube X trio」の価格が41万7900円からとなる。Cubeシリーズは、全国のドスパラ6店舗(札幌/秋葉原本店/横浜駅前店/名古屋大須店/大阪なんば店/博多店)が実機も展示して販売展開する。
また、新製品として半硬質プラスチックをさまざまな色の階調でプリントすることができる、世界初の連続階調フルカラー3Dプリンター「ProJet 4500」も国内で販売される。米国でも発表されたばかりのプラスチックパウダーを使用する3Dプリンターだ。パーソナルユース製品が採用してい、一色ごとに印刷していく熱溶解積層方式とは違い、粉末状の材料にレーザー光線を当て一層ずつ造形していく粉末焼結方式のため、色の階調を精細に表現できる。従来必要であった印刷後の作業がこのプリンターで行えるため、最終段階までの製作作業にかかる時間や負担が省けるという。
米調査会社Gartnerによると、3Dプリンター市場は、2012年の2億8800万ドルから、2017年には57億ドルまで拡大する見通しとされている。コンシューマーから企業まで3Dプリンターの市場台数は着実に伸びていくことから、3Dプリンター製のプラスチック銃の増加を懸念した米上院は、先週に金属探知機で検知できない銃器の製造や所有を禁じた「検知されない銃器法(Undetectable Firearms Act of 1988)」の期限を10年延長する法案を賛成多数で可決している。
最近では3Dプリンターによる小型拳銃「リベレーター(Liberator)」やライフル銃「The Grizzly(グリズリー)」などが登場しており、制作者はノウハウをネットで公開して規制問題へと広がっている。プラスチック銃は、金属部品を取り外せば金属探知機を問題なく通過できる。現在の3Dプリンターの性能で銃器を製造するにはプロフェッショナルな知識とハードウェアが必要だが、今後の市場拡大に伴う低価格化および性能向上で、3Dプリンターから容易く凶器が生まれる懸念は隠せない。
(山下香欧)