今月初めに開催されたCESでは70以上も新しい4K UHDテレビが登場しており、UHDパネルにおける市場拡大の見通しは明らかだ。米リサーチ会社のHISテクノロジーでは、広告や情報提供を展開するデジタルサイネージ市場においても著しく発展すると見込んでいる。昨年、米ラスベガスのマッカラン国際空港に初めて4Kデジタルサイネージが公共の場に登場した。これはLG電子製の84型4K UHDディスプレイだ。そのあとにデルタ航空が搭乗ラウンジに4K UHDディスプレイを採用、デジタルウォールペーパーとしてアップスケールしたコンテンツを再生している。
HISでは、今年のデジタルサイネージにおけるUHDパネルの出荷台数を約14万5千台と見込んでいる。これは昨年比590%というとてつもない数字になり、昨年の期待以下だったスロースタートを覆すかのようだ。そして4年後にはその数字が65万台以上になるという。尚、LCD TV向けのUHDパネルの全体出荷台数としては今年(2014年)が1000万台、2018年では4000万台との予測を出した。
4K UHDデジタルサイネージを実現する技術として、米ジェスチャーテック・システムズでは、4Kタッチパネルをマルチアレイに組める技術を開発した。また4Kコンテンツをデジタルサイネージ向けに再生するプレイヤーには、米ナノテック・エンターテインメントのNuvola NP-1をはじめ、台湾NexcomのNDiS M533 OPSやQNAPのiS-2840デジタルサイネージ・プレイヤーが登場している。4K UHDパネルの価格は、中国テレビメーカー勢が挙って低価格で打ち出してきている。
4K UHD TVおよび4Kコンテンツを浸透させるための技術を含めて、4Kコンテンツの再利用的にもコンシューマー市場はサイネージ事業に多いに影響してくる。またUHDパネルの単価が下がる傾向も見えていることから、デジタルサイネージのようにコストに敏感な業界でも、今後の市場の成長と展開が期待される。
(山下香欧)