100台以上のソニー業務用カメラが第48回NFLスーパーボウル、デンバー・ブロンコス対シアトル・シーホークス熱戦の模様をとらえた。ソニーではスーパーボウルという米国最大規模のスポーツイベントで大量のカメラ台数が起用されるのは今年で連続9回目だという。今年の大会の会場はニュージャージ州のメットライフ・スタジアム。

今年の放送権を持つFOXスポーツでは70台以上のカメラを導入している。55台はスタジアム内に設置され、20台はスタジアム周辺(メットライフ・スポーツ・コンプレックス)にショルダーカムなどで用いられた。また赤外線カメラ、14台の無人カメラ、8台のハイスピードカメラ、フライカム、飛行船カムやWWOR-TVのビル屋上に設置したカメラから超高/ワイドショットも行った。

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6台のソニー4Kカメラ(F55×5、F65×1)からの高解像度映像を使い、選手たちの微妙な表情まで身近にいるようにとらえることができる独自のスーパーズーム技法を中継で披露した。FOXスポーツでは昨年中、NFLの試合中継で試験的に1台のF65を使ってスーパーズームを行っている。複数台を使って行うのは初めて。

全体的なフィールドショットを得るために、各サイドラインに2台、エンドゾーンに無人カメラとして2台、そしてエンドラインに2台を配置した。高精細での信号であればズームインを重ねて行っても鮮明な映像が得られ、従来にはなかった超鮮明なシーンをリプレイできるという。4Kカメラ信号はCA4000を介して中継車のBPU-4000プロセッサーユニットに光伝送され、3台のEVS 4K XT3サーバおよび4K解像度からHD切出しが行える「Episo Zoom」システムを通して各オペレーター達がマルチプルカットアウト、ズームを施して鮮明な映像をリプレイする。

ライブプロダクションのGame Creek Videoは、プレ、ポストゲーム共々5台の中継車を出動させてソニーHDC-1500、HDC-2500カメラで現場の中継を行った。またプレ、ポストゲームにおいてNFLネットワークとESPNの中継専用としても2台の中継車を現場に設置している。同業者のNEPブロードキャスティングでは、国際放送とハーフタイムの中継放送用に中継車を現場に送り、現場収録にはソニーHDC-2500とHDC-1500を使った。

昨年のホスト放送局となったCBSでは、今回のFOXと似た“ハイパーズーム”技法を朋栄のFT-ONEを採用して行った。またハイスピードカメラにはナックのHi-Motion II(開発協力:池上通信機)を起用した。来年の持ち回りの順番はオリンピックの放送権を持つNBCだ。4K解像度を利用した新しいライブテクニックも期待される。

(山下香欧)