総務省は8月29日に第四回目となる「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」を8月29日に開き、総務省や放送局などで成る官民協議会と共に、ロードマップに関する検討状況報告を行った。

特に注目すべきところは、次世代ハイビジョン放送の普及に向けた新たな工程表が発表された点だ。今回は放送方式ごとに詳細なスケジュール案が記述されている。

4K・8K放送の開始時期を前回から前倒しにして、「スマートテレビと一体となった推進により、日本の強みであるテレビ製造事業の活性化とグローバル市場における競争力の強化を図り、成長戦略につなげていくことを目指す」とした。

ロードマップの最初の目標である「2014年の試験放送開始」により、この6月から衛星放送、ケーブルテレビ、IPTVにおいて4Kの試験放送が開始された。この試験的放送を2016年にBS放送にも広げ、リオの夏季五輪で多くの視聴者が4K映像を体験できるようにするという。同年にCS衛星では8K(1ch)の試験的放送を開始する。

BS放送、東経110度CS放送にて、次世代伝送路符号化方式(16APSK)および映像符号化方式(HEVC)を採用して伝送容量を拡大すれば、1トラポンで8K 1ch、4K 3chの伝送が実現する。実用放送として、スカパーJSATが15年中に4Kの商用放送をCS(東経110度)で始める。同様にケーブルテレビとIPTV(RF経由)での4K商用放送も15年に開始予定。

現行、4K・8K(UHD)の放送等の実用化に向けた環境整備、および各関連連盟で技術基準等の策定を進めており、例えば一般社団法人電波産業会(ARIB)では、2014年3月に「超高精細度テレビジョン信号スタジオ機器間インターフェース規格」を策定する等、民間標準規格について、関係する機器メーカや放送事業者が主体となって検討・標準化を進めている。ARIB標準規格に関して、UHD放送による放送通信連携サービスはハイブリッドキャスト技術仕様をベースに検討が行われている。

一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)では、実際の放送に当たって求められる具体的かつ詳細な技術仕様について順次策定される予定となっている。ケーブルテレビ、IPTVに関しても同じく運用仕様などについて検討を進めている。

供給側の技術的ロードマップも然り、UHDコンテンツ制作環境の整備、需要側へいかに対応受信機等の普及をするか、などエコシステムの形成についてはどうだろうか。2Kから4K/8Kを無理なく段階的に導入するためにも、視聴者側のニーズと環境に応じてこれらフォーマットが併存することは避けられない。どのように円滑な普及を図るかの検討が急がれると思われる。

(山下香欧)