1か月前、類のない4Kオープンソースシネマカメラとしてクラウドファンディングサイトに登場したAxiomベータ。オープンソースカメラとして、スケーラブルに開発していけるのが大きな特徴だ。ボランティアで世界中から集まったフィルムプロ制作集団ApertusでAxiomベータのコンセプトを始めたのは数年前になるという。
Axiomベータは、将来のユーザーから搭載すべき仕様を聞きながら開発していく。調達できる資金規模によって、リモートコントロール、アクティブCanon EFマウント、バッテリーマウントから4K RAWレコーディング機能といった拡張を開発する予定だったが、すでに資金は予定の倍以上(現在2750万円)を達成したため、これら全てを製品化していく予定だ(ファンディング公開は23日で締め切っている)。
搭載するセンサーは、4/3”のTrusense KAC-12040か大判スーパー35mmのCmosis CMV12000イメージセンサーから選べる。クラウドファンディングサイトで購入予約すれば、4/3”センサーでは2900ドル、スーパー35mmは3500ドル程度で完成製品が届けられる。また4/3”とスーパー35mmのセンサーを搭載したモノクロバージョンと、Cmosis CMV2000センサー(2/3”16mmセンサー)を搭載したフルHDカメラも開発することになった。
以下は各センサー自身の仕様。Axiomベータは、このセンサーの能力を最大限に引き出そうとしている。
Trusenseは12Fストップ(ローリングシャッター)で、9.3Fストップ(グローバルシャッター)。CMV12000センサー搭載モデルでのダイナミックレンジは10ストップだが、センサー自身の能力は15ストップまで拡張できる能力を持っているため、12ストップまでは拡張したいとしている。また3モードのHDRを有する。
各センサーの感度、ブラックレベルやSN比とダイナミックレンジ、HDRなどのスペックは、Magic Lantern(マジック・ランタン)のコミュニティサイトに掲載されている。マジック・ランタンはCanon EOSカメラなどのアドオン機能を開発しているコーデック開発会社。今回のカメラでも開発支援をしている。
現在、搭載される主な仕様と機能は以下の通り。
- リアルタイム映像処理(FPGA)、デュアルコアARM CPU
- Linux OS(ArchLinux/Raspbian)
- 4K RAW静止画
- ルック:4チャンネルLUT、各出力のログモードとして対応(カスタマイズ可能)
- リアルタイム処理:マトリックスカラーコンバージョン、固定パターン、ノイズ修正、ピクセル補正、オーバーレイ、誤色表示、ルックアラウンド(フレームに入れる前にVFでオブジェクトをチェックできる機能)
- 3×HDMI系統から非圧縮フルHD(1080p60)4:4:4出力(4Kからダウンスケール)
- ハイスピード転送レート(3×1080p60=180fps)
- メカニカルシャッターを使わないタイムラプスとストップモーション撮影
- リムーバブルな可視光線カットフィルター
- キヤノン、ニコン、MFTレンズマウント(パッシブ)対応
- 2モードのグローバルシャッター選択
- モバイルデバイスからのカメラ機能制御
サイズは6.9mm(H)×10.8mm(W)×3.7mm(D)
商品化予定のリモートコントロールパネル
オープンソースを活かし、今後のスケーラブルなアップグレードで大判フルフレームか16mmハイスピード、またはダイナミックレンジのほうが優先なのか、そのあたりのフィードバックが反映されて進化していく。追加のインターフェイスもそうだ。3G-SDI、TC、ゲンロック、トリガー対応はすべてロードマップにのっている。高速SSDや高速転送に対応するためのPCIeインターフェイスやビルトインLCDなども検討しているという。キヤノン、ニコン、MFTレンズマウント以外のパッシブレンズマウントにも対応していく。
完成製品の出荷予定は来年4月※画像をクリックすると拡大します
ベータカメラで撮ったサンプルフッテージ(カラーグレード済み)
オリジナルデータもダウンロードして自分の環境で検証できる
(山下香欧)