©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
来週に日本でも上映が始まるデヴィッド・フィンチャー監督最新映画「ゴーン・ガール」の制作には、5KでDSM(デジタルソースマスター)を作るという新しい取り組みが展開された。
ポストプロダクションはメインにLight Ironが担当した。Light Ironがフィンチャー監督の作品のポストを手掛けるのは、「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」に続き、今回が3作目。
Light IronはRED Digital Cinema社のベータサイトでもあり、今春のNABではRED DRAGONのデモ用PVも手掛けた。ちなみに、かのパナビジョンが12月3日、このLight Ironを買収したことを発表している。
フィンチャー監督はRED Digital Cinemaカメラを現場で愛用している一人者だ。「ゴーン・ガール」は、EPIC RED DRAGONシネマカメラをフルに活用した初の映画作品だという。実に500時間のRAWフッテージを生成した(35mmフィルムだと約61万キロの長さになるそうだ)。
「ソーシャル・ネットワーク」のときは、4.5K(4480×1920)で撮影、2.3KでDIを施し、通常のDCPサイズ2K(2048×1080)でリリースした。「ドラゴン・タトゥーの女」では、5Kで撮影、マスターは4K。そして今回の「ゴーン・ガール」は6Kでマスターは5K(5120×2133)だ。6Kという17%のオーバーショット部分を使って、センターからの再配置やスタビライゼーション、クリエイティブなVFXを施したという。DCDM/DCPは2Kと4Kだが、配給側のFOXはそれに加えて、マスターアーカイブに5KのDSMを受け入れた。圧縮のない、オリジナルのREDファイルの要素を含む高品質のマスターとして最初の事例だろう。
6Kは4Kよりも2.5倍の解像度を持ち、たとえばDPXであれば毎フレームは75MB、よって3秒(72フレーム)のショットでも5GBを超える。Light Ironでは、莫大な容量のデータを扱うため、オフライン編集とスタジオ内のサーバ、そしてPablo Rioグレーディングシステム(8Kシステム)間でボトルネックとなるネットワーク帯域についてもアップグレードを行って今回の作業に取り組んだ。
©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
REDカメラで撮影した.r3dファイルはFotoKem側のラボにインジェストされ、デイリーや編集メディアとして変換、LTOデータなどにアーカイブする作業が行われた。オフライン編集用には6Kフレームサイズに対応するProRes422(LT)QuickTime(2304×1152)に変換している。
編集とプリポスト(主にデベイヤーとプリコンフォーム作業)はACEが担当。Adobe Premiere Proで行い、PremiereからXML/AAFをPablo Rioに受け渡すというパイプラインを構築した。VFXはPremiere ProとAdobe Dynamic Link経由のAfter Effectsで作業している。XMP(Adobe Extensible Metadata Platform)を介して、XMLリストがシームレスにPablo Rio側にインポートされることを確認したという。興味深いのはこのXMLは、1レイヤー情報のみ持つEDLと異なり、バージョンの違いや各レイヤー情報を得られることだ。
仮編集された6K DPX(10bit)のファイルはLight Ironに渡され、最終的なDI作業、そして5Kへクロッピング作業をPabloで行った。カラーマネージメントはREDファイルを活かしている。REDカメラのカラーメタデータはRedColor3とRedGamma3、露光指数は800で設定。オフラインはこのデータ設定で行い、DPX化する際にRedLogFilmガンマに切り替えている。
ゴーン・ガール
2014年12月12日全国ロードショー
【スタッフ】監督:デヴィッド・フィンチャー
【キャスト】ベン・アフレック、ロザムンド・パイク他
公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/
(山下香欧)