11月にCBSがニュース番組のライブストリーミングサービスを始めたが、今度はNBCでもサイマルIP放送を開始した。NBCが提供するサービスは有料TV加入者に限定されるため、CBSやHBOが来年に単独で始めるIP放送(加入制度)とはサービス形態が若干異なる。NBCの新サービスは、リニア放送のライブストリーミングサービスの先駆者ABCと同じ形態だ。
CBSではニュースのライブストリーミング(およびキャッチアップ)「CBSN」に加え、「CBS All Access」という、HuluやNetflixと同じ加入制度のOTTサービスも始めている。つまりケーブルや衛星放送サービスに加入していなくても月5.99ドルでCBSの番組がオンデマンドで、そしてローカル番組はライブで視聴できるもの。
実はNBC5(シカゴ)といった系列局のいくつかは以前から、独自のWebサイトよりニュース番組に限りライブで提供しているが、今回の新サービスでは、PC上(nbc.com)で自分の地域に合わせてNew YorkやLAをはじめ系列10局の放送が24時間体制で視聴できるようになっている。合わせて来年初めには、モバイルデバイスでも視聴できるアプリが提供される予定。
またNBCの大元NBCUniversalが所有するE!やBravo、USAなどの番組はNBC.comからオンデマンドで提供しており、そのほかにもNBC NewsからNBC Sports Live Extraなど、それぞれオリジナルのアプリを通して“TV Everywhere”環境を提供している。来年にはNBC側もリニア放送と分けてブランドをアピールしていくという。
米国では“TV Anywhere”という言葉は流行語ではなくなってきたが、サービスの需要と供給は定着してきた。ABCやNBCのサービス展開は、利用者のリニア放送と有料TV離れを防ぐ1つの方法として見られている。来年中旬には、ブロードバンド加入世帯数が初めて、有料テレビ加入世帯数を上回る予測が米TDGリサーチから報告されている。
(山下香欧)