DirecTVに続く米国2番目の衛星事業者Dishは、CES2015にてインターネットテレビサービス「Sling TV」をこの春から始めることを発表した。月額20ドルで提供され、Webブラウザのほか、タブレット、スマートフォン、もしくはRokuからサービスを受けられる。

現在Dishのサービス非加入者でも、オンラインテレビサービスのようにこのSling TVだけを利用することができる。Sling TVは、対抗馬DirecTVや米国最大のMSOコムキャストのサービスよりもチャンネル数は少ないが、長期契約を強いられることなく加入できることは大きなメリットだ。

CESのプレス発表会で登壇したDishのジョー・クレイトンCEOは、「Dishから、テレビエクスペリエンスの新しいマイルストーンを本日、発表する」とはじめ、Dishはブランディングイメージを向上させ、この三年間でコアの衛星事業を安定化させたと語った。昨年は広範囲に成果を上げ、そしてキャッシュフローは毎年1億ドル以上を達成させることができているとし、そのキャッシュフローはdishNETやワイヤレスアセットなど新しい可能性、そして次世代のOTTサービスの可能性へと投資していると語った。

ケーブルカッターという言葉も定着してきたが、米国では2013年に業界始まって以来初めて、有料テレビ加入者の数が減少した。米国世帯数の約25%である2,500万世帯が現在、有料テレビサービス非加入者となっており、この数は増加をたどっている。有料テレビサービスが提供する何百チャンネル全部を見るわけでないのに60~100ドル以上も月に支払わなければならない。月十ドル程度のNetflix、Amazonなどのオンラインテレビサービスだけにするのも不安という消費者側のジレンマは続いている中、今回のDishが打ち出したOTTサービスは魅力的なものになる。

Sling TVでは開始当初、ESPN、TNT、CNNといった12主要チャンネルの番組が観られる(ABCファミリー、カートゥーン ネットワーク、CNN、ディズニーチャンネル、 ESPN/ESPN 2、フードネットワーク、HGTV、TBS、TNT、トラベルチャンネル、アダルトスイム)。今後はこの基本12チャンネル以外に、好きなチャンネルを1チャンネル5ドルで追加できるようになるという。このフレキシブルなカスタマイズサービスも顧客満足度アップする1つになるはずだ。ただしSling TVでは、リニアTVは観られず、またハードウェアDVR(DishではHopper)を利用しないため、1つのアカウントで1ストリームのみの視聴となる。

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4K対応セットトップボックス「4K Joey」

発表会場ではSling TVに続き、CESでも活性化している4K関連として、Dishの4K対応セットトップボックス「4K Joey」が発表された。こちらは量産された最新のBroadcomデュアルコアチップセットと7448デュアルコアARMプロセッサを搭載し、4K60p 10bit/HEVCデコード技術に対応したもの。HDMI 2.0/HDCP 2.2、MoCA2.0に対応する。他に類のない大きな特徴としてはPinP機能を使ってデュアルスクリーンでHD番組を2チャンネル同時に観られることだ。加入者へサービスが開始されるのは、今夏から秋頃になるという。

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リモートコントローラー「Hopper Voice remote」

またテレビ関連では、クリックできるタッチスクリーンがついたユニークなリモートコントローラー「Hopper Voice remote」も紹介された。タッチスクリーンのほかにも音声認識でコントロールできる。こちらも第二四半期中に提供できるようだ。

(山下香欧)