「パナソニック2014年度事業方針」より

パナソニックは、中国・山東省で唯一保有していた液晶テレビ工場を1月30日に閉鎖し、中国でのテレビ生産から完全撤退することになった。同社は2年前に上海のプラズマテレビ工場も閉鎖している。中国市場向けに年20万台を生産していたが、現地メーカーや韓国勢との競争が激しく販売が低迷。採算が合わないことで今回の決断となった。

工場の約300人の従業員は解雇し、8割出資する生産子会社を清算する。今後は他社に生産を委託し、自社ブランドでの販売は続ける。同社は2014年度(2015年3月期)に構造改革を終えることを表明しており、テレビ事業の収益改善は急務だった。パナソニックのテレビ事業(パネル含む)は、2014年3月期に465億円の赤字であった。中国と米国の販売は低迷気味で、北米向けに液晶テレビを年50万台生産するメキシコ工場(ティファナ)の売却も進めているという。生産拠点を集約することで事業の合理化を進め、全体的に赤字となっているテレビ事業の生産体制を見直す。

パナソニックの2014年度(2015年3月期)の世界テレビ販売台数計画は700万台の見込み。今後は海外でのテレビ生産をチェコとマレーシアに集約して海外生産を年70万台程度減らし、世界全体で約1割縮小する計画だ。日本、東南アジア、欧州の主要拠点は収益確保ができる高精細テレビといった付加価値の高い商品をアピールする。

日本メーカー各社のテレビ事業の構造改革は、最終局面に向けて進んでいる。東芝は先月29日に海外のテレビ事業から撤退し、ブランド供与型ビジネスへ移行することを発表。そしてシャープでも欧州でのテレビ生産を昨年12月で撤退し、UMCへブランド供与。合わせて北米のテレビ事業から撤退する検討に入った。

一方、ソニーのテレビ事業は2014年第2四半期で10年半振りの2四半期連続黒字を達成した。2014年7月にテレビ事業を本社から分社化し、北米で雇用数を削減。収益確保ができる4Kテレビに集中する動き。これら戦略効果もあってか、再建の軌道に乗ってきたとみえる。

(山下香欧)