Blackmagic Designの発表によると、「ボーカロイド オペラ 葵上 with文楽人形」の制作にBlackmagic Cinema Cameraをはじめ、DaVinci Resolve、HyperDeck Studio Pro、HD Linkなどの同社製品が使用されているという。

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「ボーカロイド オペラ 葵上 with文楽人形」は昨年、ロンドンのカルチャーイベント「HYPER JAPAN」でプレミア上映され、テクノサウンドとボーカロイドによる楽曲に合わせて文楽人形が演じ、舞う、という映像作品。源氏物語をベースに、作曲家ヒカルと共に活動するアオイという人気の歌い手に、使われなくなったミドリというボーカロイドが憑依する、というストーリーだ。

カメラの選定について監督である加納真氏は次のようにコメントしている。

加納氏:レンズが選べて、被写界深度もある程度あるものなら表現の幅が広がるのでは、と考えていたんです。ポストプロダクションのことまで考慮すると、Blackmagic Designのカメラはカラーコレクションのソフトウェア、DaVinci Resolveもついていて、ProResで収録できる点が非常に便利だと感じました。そういったトータルソリューションで考えたときにBlackmagic Cinema Cameraがベストだと考えたんです。

セッティングおよび撤収用に1日ずつ割り当て、撮影自体は2日間で行われた。撮影には3台のBlackmagicカメラを使用。舞台上でのパフォーマンスを撮影するスタイルだったため、1台を三脚に載せて固定し、他の2台を三脚またはクレーン(ジブ)に載せて撮影を行った。

撮影を担当した林勲夫氏は次のようにコメントしている。

林氏:レンズは、Canonの16mm-35mmと24mm-105mm、それにコンタックスマウントのカールツァイスのバリオゾナー80mm-200mmを使用しました。撮影するにあたり、演者の動きをどうするか、それによってカメラの位置や動きをどうするか、という課題がありました。Blackmagicのカメラは軽くて機動性が良いので、試行錯誤しながら撮影するのに便利でした。

収録中は確認用にHyperDeck Studio Proを使用。撮影からポストプロダクションまでの技術面をサポートした株式会社インターセプターの田巻源太氏は次のようにコメントしている。

田巻氏:3台のカメラで撮影しているので、現場で1台ずつ再生させていると全体の雰囲気が掴みづらい。そこでHyperDeck Studio 4Kをモニター出しの用途で使いました。カメラの出力を画面を4分割で表示できるマルチビューアーに送って、BlackmagicのHD LinkでLUTを当てたものをHyperDeck Studio 4Kに入力したんです。こうすると、3つのカメラの画が、同期が取れた状態でひとつの画面で表示された状態で収録できるので、収録後すぐにSSDから見たい部分を確認できたんです。

撮影後は、DaVinci Resolveでワンライトグレーディングを施し、そのデータを書き出してオフライン編集を行った。その後、編集データをXML経由でDaVinci Resolveでコンフォームしグレーディングしたものを、再度XMLで編集ソフトウェアに戻して字幕入れなどを行ってフィニッシングした。

田巻氏:カラーグレーディングは、舞台で作った照明を忠実に再現しつつ、黒衣の黒をどういう風に表現するかが課題でした。黒といっても、いろいろな黒があり、どのくらいその黒を目立たせるかも考えながらグレーディングしていきました。舞台で作りこんだ色を、そのまま再現できたのは、Blackmagicのカメラのダイナミックレンジの広さとDaVinci Resolveの組み合わせのおかげです。

※VOCALOID(ボーカロイド)/ボカロはヤマハ株式会社の登録商標です