ネットワーク関連製品を開発・製造する米Arrisグループが、セットトップボックスメーカーの英Paceを21億ドル(約2,520億円)で買収することが明らかになった。買収は株式および現金での取引となる。株主によって承認がなされ、買収は今年後半に完了する予定。今回の買収で新しく生まれる企業は、Arris側の法人税を削減する狙いで英国の企業となるが、本社はArrisの本拠地であるジョージア州スワニーのままとなる予定。Arrisの発表によると、非GAAP(一般会計原則)の税率を昨年比で10~8.8%ほど引き下げられるという(昨年2014年は36.8%)。
米国通信事業者とケーブル事業者向けの機器を製造しているトップ2社が合併することになるが、事実、2社で米国ケーブル市場でのセットトップボックスのシェアは70~80%と、ほぼ独占状態になるようだ。ArrisとPaceを合わせると収入は80億ドル、雇用は8,500人になる。
Arrisの顧客はコムキャストとタイムワーナー・ケーブルとDirecTVを買収したAT&Tである。Arris側には衛星市場への投入の道もできている。新会社は、ビデオ視聴者がケーブルテレビサービスから離れてOTTへとシフトしている中、これらサービスを提供する通信事業者向けの製品を拡大していく。
今回の買収は、Arrisが2年前に米Googleからモトローラホームビジネスユニットを22億ドルで買収して以来の大型買収である。
(山下香欧)