仮想現実(VR)の世界がオンラインテレビにも広がる。先週開催されたOculus VR開発者向けの会議Oculus Connect 2に合わせ、Netflixが先行してVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Samsung Gear VR」対応のアプリをリリースしたことが発表された。
Netflixに続き、Hulu、Twitch、Vimeo、TiVoらも近々Gear VRに対応するアプリケーションを展開してくるという。当然のことながらOculusの親元であるFacebookでも、ニュースフィードに投稿できるようになった360度ビデオストリーミングにVRが実装される。更に20世紀FOXと映画製作・配給会社のライオンスゲートも、Oculus Cinemaに対応する映画コンテンツの展開でOculus VRと提携している。
Oculus Connect 2では、サムスンモバイルから直々にコンシューマー版のSamsung Gear VRが11月から99ドルで発売開始することが発表された。重量は310gと、従来モデルである「Gear VR Innovator Edition」と比較して、22%ほど軽量化されている。視野角は96度のままで、Note 4向けにIPD(瞳孔間距離)に多少変更が加えられた
Netflixが展開するのはNetflix Living Roomというインタラクティブなバーチャル視聴スペースがメインになる。インターフェイスとビデオレイヤーを持ち、ホームシアター調の空間の中で好きなコンテンツを視聴できるようになる。Netflixの公式ブログによると、Netflix UIは解像度1280×720で構築されており、720pのストリーミングコンテンツを展開できるとしている。
Hulu VRアプリのリリースは今秋を予定している。Netflix同様に、HMDを装着した視聴者は、視聴するコンテンツに合ったリビングルームに空間を着せ替えた上でコンテンツを楽しめるようになるという。2Dコンテンツに加えてオリジナルのVRコンテンツを展開していく。最初のVRコンテンツは短編映画「The Big One」を予定している。この短編映画はHulu専属で人気シリーズ「Video Game High School」の制作者RocketJumpとライオンスゲートが制作するもので、新しいオリジナルシリーズ「RocketJump:The Show」のボーナスコンテンツになる。
Oculus Rift DK2
HuluやNetflixも今後、モーションセンサー装備のOculus Riftにも対応していく意向を見せている。加えて20世紀FOX達が全方向を持つコンテンツを制作すれば、モーショントラッキング機能を活用することで自分の動きに応じた映像が広がり、映画やドキュメンタリーのシーンに自分がいるような、一層の没入感を得られるようになることが期待できる。
(山下香欧)