サムスン電子がデジタルカメラ市場から撤退するという噂が絶えない。これはサムスングループで昨年後半に起こった人事寒波、つまり役員数の縮小や未来戦略室といった組織の縮小の連鎖によるもので、サムスン電子を担当する戦略チーム規模の縮小から、各部門の組織改編が大々的に行われる公算が大きいからだ。サムスン電子のデジタルカメラ事業においては、昨年末時点で英国などヨーロッパおよび香港、オーストラリアにおいてNX1の販売を止めることを発表している。
サムスン電子は2010年にNXモデルシリーズを市場投入して以来、デジタルカメラ部門は次第に事業収益率を落としている。2013年にはミラーレスカメラ市場への拡大とスマートフォンカメラの競争力を強化することを目的に、カメラ(デジタルイメージング事業)とモバイルコミュニケーション部門(ワイヤレス事業)を融合させた。しかし2015年初頭に4KミラーレスカメラNX500をリリースして以来、新しいカメラ開発は見られない。カメラ専用のマイクロサイトやソーシャルサイトは、昨年から更新が滞っている。
今回のように、サムスン電子がカメラ事業を縮小または売却するといった話が業界に浮上したのは初めてではない。昨年7月末には第2四半期の業績を発表した後に、企業説明会でカメラ事業を売却するという噂を公式に否定している。当時はカメラ産業が不振なため、このような話が出回るようだと説明しており、9月末にも再度カメラ事業撤退について否定するコメントを出している。サムスン電子は、韓国内小型デジタルカメラ市場で1位を占める実績も残していながらも、スマートフォンのカメラが小型デジタルカメラ市場を掌握ながら垣根を越えて占領してきたことで、業績は悪くなる一方である。
デジタルカメラ出荷数量地域別推移。参照資料:「カメラ映像機器工業会統計実績・出荷見通し」
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一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)の統計によれば、スマートフォン「カメラ携帯電話」の普及を受け、特にコンパクトカメラ市場が急激に縮小している。デジタルカメラ市場は前年比20%近くまで減り、デジタルカメラの出荷台数は市場が頂点だった2010年と比較すると、3分の1まで縮小している。カメラメーカーは、光学技術にシナジーを出すことができる医療機器、イメージセンサー(CIS)などの部品事業に力を注いで事業再編に乗り出した。オンライン情報のアジア経済(Asiae)が伝えたところによると、サムスン電子でもカメラ製品の開発作業を全面的に中断し、関連の開発を医療機器工学と携帯電話カメラ部門に移管したという。
(山下香欧)