パナソニックと慶應義塾大学発ベンチャー企業のKAIフォトニクスは共同で、8Kのフルスペック映像伝送を1本で実現するコネクタ付の光ケーブルを開発した。

たとえば、8K解像度を持つ映像を8Kディスプレイに送信する場合、4K映像に分解して4本のHDMIケーブルで伝送し、ディスプレイの持つ画像処理ソフトで8K映像としてつなぎ合わせて表示していた。今回2社が開発したケーブルは、プラスチック光ファイバーケーブルを採用したことで、100Gbps超という伝送スピードで8Kのフルスペック映像を1本で伝送可能とした。

光ファイバーは光軸を完全に合わせることにより高速通信を実現する。機器とケーブルコネクタ部が分離している場合、接続部分において光軸を正確に合わせることが難しく、接続不良が発生するなどの理由で挿抜可能なコネクター付の映像伝送用ケーブルとして採用することが困難であった。パナソニックとKAIフォトニクスは、ボールペン型接続技術を有するプラスチック光ファイバーを用いたコネクター付ケーブルを開発、加えてパナソニックの持つ光多値化伝送技術を適用することで、1本のケーブルで100Gbps超の伝送速度を記録できた。プラスチック光ファイバーのボールペン型接続技術は、三菱鉛筆と慶應義塾大学小池教授が共同で編み出した技術とのこと。

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シンセシオロジー研究論文“ボールペン技術による家庭用高精細映像光伝送システム開発”より

パナソニックでは、BtoB市場において、企業等での8K機器の採用が広がることを想定し、簡易な接続を実現する本コネクタケーブルの国際規格化を目指すという。

(山下香欧)