ESPNの技術開発チームが月日を重ねてテストしてきたPylon Cam(パイロンカム)が、2015米大学フットボール選手権プレーオフにて正式にフィールドデビューした。エンドゾーンで今までにないアングルで捉える迫力あるシーンには、視聴者から熱狂的な称賛を受けている。

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最初のフィールドテストは2015年9月に行われている。12月14日に放映されたMonday Night Footballでは、ハイライトにてパイロンカムで捉えられた迫力あるタッチダウンのシーンは視聴者に大きな衝撃を与えた。

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ドルフィンに対抗した、ニューヨーク・ジャイアンツOdell Beckham Jr.のアクロバティックなキャッチ&タッチダウンを見せつけた。このパイロンカムが捉えたシーンは判定用リプレイとしても有効だろう

カスタムメイドのパイロンの中に無線機と4台のマルチカメラハウジングを組み込んでいる。4システムのパイロンカムは、各サイドゾーン4定点に設置された。本カメラ機能について、テスト当時は1080iであったが、現在は機能を向上させたバージョン2.0モデルで、1080/60pで撮れるためプロダクション側でイメージズームも無理なく行えるという。

パイロンの上部に仕込んである2台のカメラは、1台はサイドラインへ、もう1台はゴールラインに顔を向けてある。加えてゴールライン側に顔を向けているカメラレンズを2.3mmレンズから12mmレンズに交換して、ゴールラインから遠いアングルまでを狙えるように組み込んでいる。ゴールラインにあるパイロンカメラのFOVは、12ヤードラインからエンドゾーン内3ヤードあたりまで。

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ESPNの技術開発と制作チームが考案したワークフロー。パイロンから無線でイーサネットボックスへ、そしてファイバケーブルでライブプロダクションのある中継車へフィードされる

ESPNの制作担当ディレクターMarc Rowley氏とソフトウェアエンジニアのChris Pond氏がパイロンカムについて解説

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95ヤードのキックオフリターンタッチダウンを決めたアラバマ大のRB Kenyan Drake氏

(山下香欧)