2016年4月16日から21日(米国時間)の期間中に米国ラスベガスで開催されるNAB2016では、展示フロアに加えて様々なカンファレンスやワークショップが行われる。今年のカンファレンスは、ポスト|プロダクションワールド、クリエイティブマスターズシリーズ、スーパーセッションといった、ストーリーテリングの動向やVR、ドローン、高精細映像など新技術を取り上げた13項目が用意されており、カンファレンスフレックス・パスもしくはSMARTパスで参加できる。今回は、クリエイティブマスターズシリーズのセッションを取り上げてみる。
■バーチャルリアリティ:インタラクティブ技術と没入的ストーリーテリングが創り出す世界
本セッションは「NABショー没入型メディア経験」の一部で、クリエイティブマスタープログラムの基調講演になる。開催は4月18日13時45分からで会場はサウスホールS220。
FOX配給ヒット映画「オデッセイ」の元にVR映画化した「The Martian VR Experience(オデッセイVR)」や、エピックの「Bullet Train」、ILMの360度映像Star Wars VRから、VRベースのインタラクティブストーリーテリングの展開について、学ぶ内容となっている。モデレーターは20世紀FOXでフューチャリストおよびBARCOでシネマエバンジェリストであるテッド・シュローヴィズ氏、そしてパネリストにはルーカスフィルムでCTOのロブ・ブレドゥ氏、エピックゲームでCTOのキム・リブラリ史、そしてバーチャルリアリティ社の創立者でCCO兼ディレクターであるロバート・ストロンバーグ氏などが揃う。
© MPC Moving Picture Company
■フォースの背後にある力に覚醒 – 「スター・ウォーズ」のメイキング
本セッションはモーション・ピクチャー・サウンドエディター(MPSE)と共同でプロデュースされた、クリエイティブマスタープログラムの1つ。開催は4月18日15時からで会場はサウスホールS220。
興行収入が史上最高と言われた「スター・ウォーズ」最新エピソード「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の成功は、最新およびクラシックサウンドのプロセッションと2,000以上のVFXショット無しでは語れない。
新しいキャラクターからライトセーバーまでの制作舞台裏を、ILMからサウンドとVFXのエキスパート2名を迎え、その協業について語ってもらう。モデレーターはThe Vergeのシニアレポーターであるブライアン・ビショップ氏、パネリストにスカイウォーカー・サウンドのスーパーバイジング・サウンド・エディターであるマット・ウッド氏、そしてILMの視覚効果アートディレクターであるジェームズ・クライン氏が登壇する。
■完成形までの道のり – 「ビッグ・ショート」と「レヴァナント」
本セッションはアメリカ映画編集者(ACE)と共同でプロデュースされた、クリエイティブマスターズプログラムの1つ。開催は4月19日11時30分からで、会場はサウスホールS220。
モデレーターに南カリフォルニア大学教授のノーマン・ホリン氏、そしてスピーカーにACEからハンク・コーウィン氏(クレジット:ビック・ショート、ナチュラル・ボーン・キラーズ、生命の木、ニクソン)とスティーヴン・ミリオン氏(クレジット:レヴァナント、バードマン、ハンガーゲーム、オーシャンズ11)を招き、この1年のパワフルな編集作業へと導いたものは何かを語ってもらう。「ビッグ・ショート」と「レヴァナント」や過去に携わった作品のクリップを見ながら、両者の作業スタイルや習慣、またエディターのマインドやどのような経験がクリエイティブ性を広げるのかなどを学ぶ。
■ジャングル・ブック:新技術とクラシックストーリーテリングが出会うとき
本セッションはクリエイティブマスターズプログラムの1つとして、4月19日の14時45分から、サウスホールのS220会議室で開かれる。ディズニー曰く、「今までで最も高度な技術を施した映画作品の1つ」と呼ぶ「ジャングル・ブック」に携わった映画職人から話を聞く。本作では、実写とフォトリアルスティックなCGI動物たちを違和感なく馴染ませる合成技術として、オンセットでのリアルタイム・デジタルレンダリングと、プレビュー環境が設計された。
VFXチームではライブアクション部門(グリップ、美術部門など)にTechVizのVRシステムを導入し、クラシックなテクニックを使いながらジャングルにCGI動物の吐息を吹き込んだ。モデレーターはICGマガジンのエグゼクティブエディターのデビッド・ジェフナー氏、パネリストにVFXスーパーバイザーのロブ・レガート氏をはじめテクニカラーのDIカラリストのマイク・ゾーヴァ氏など4名が登壇する。
(山下香欧)