2016年6月7日に、関西テレビ本社で開催された「テクニカルフェア2016」では、“カンテレ4K伝送実験・技術開発展示”というコーナーの一角で、放送通信連携機能ハイブリッドキャスト(Hybridcast2.0)を活用した、テレビ向け4K MPEG-DASH配信の実験が行われた。
同実験では、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)方式を使った4K VOD映像だけでなく、4Kカメラからのベースバンド信号からのライブ4K動画も合わせて配信するシステムを構築したことが特徴。ハイブリッドキャストを利用した4K MPEG-DASH配信の実験は、TOKYO MXが開始している。また、過去にフジテレビがHDの本放送に4K動画を同期再生するという実証実験を行ったが、今回のようなライブソースをハイブリッドキャスト向けに配信する実験は初めてとなる。
展示コーナーで行った実験フロー
展示コーナーでは、Blackmagic Designの4KカメラからベースバンドでElemental Technologiesのライブエンコーダーに映像信号を入力し、リアルタイムでHEVCフォーマットに変換、エンコーダーからVPN経由でAWS内WebサーバおよびAmazon CloudFront CDNを介し、ハイブリッドキャスト対応テレビ(パナソニック社製)で受信する、というデモンストレーションが行われた。
この間は、特別な専用機材は使わず、汎用VPNルーターや家庭にあるブロードバンドルーターなどを利用し、実用に近い環境で行っている。ライブと2チャンネルのVODの切り替えは、テレビのリモコンから行える。4K地デジ放送が未定の現状、ハイブリッドキャストで4Kライブ動画のリアルタイム配信が行えることが実証できたことに対して、来場者から強い関心を寄せていた。
(山下香欧)