来月2月5日に、テキサス州ヒューストンのNRGスタジアムで開催されるアメリカンフットボール(NFL)の大祭、第51回スーパーボウル(Super Bowl LI)の放送権を持つFOXは、新たな放送技術を盛り込んで中継に臨む。その1つに、視聴者がフィールドにいる選手の目線で試合の流れを観られるリプレイ技術「Be The Player」を中継に導入する。
このBe The Playerは、インテルの360°リプレイ技術をFOXスポーツラボとインテルが共同で更に進化させたもの。インテルの360°リプレイ技術は従来FreeD社が編み出した、30~40台近いライブカメラをファイバーでつなぎ、大規模インテルサーバーでカメラソースからリアルタイム3Dグラフィックスを生成する技術。従来による第三者の目線でターゲット選手の動きを360°視野で観せるものから、今回はフィールドにいる選手の目線、特にクォーターバックにファンの視点を置くという構想を目標に開発した。
FOXでは、昨年のカレッジフットボール試合で何度の実証実験を重ねてきており、2月5日の大イベントに臨む
今回も、スタジアムを囲んで設置される40台近い高精細カメラと、インテルのプロダクション施設をファイバーでつなぎ、インテルサーバーで一気にカメラデータをボクセル(容積ピクセル)合成処理を施す。3Dとなったクリップは一時停止、ズームイン・アウト、およびフィールド上のどこからでも見れるようになる。
Be The Playerでは、カメラ視野角を選手の目線レベルと合わせ、プロダクション側で注目する選手を決定した際、その選手がいるカメラゾーンのデータを利用する。現時点ではインスタントリプレイが行えるまで処理速度は追いついていないが、それでも、2分でBe The Playerクリップがリプレイとして送り出せるようになっている。またBe The Player機能に加え、従来の360°リプレイワイドショットで、中継ソースとしての利用も可能だ。
インテル360°リプレイ技術としてここまで進化するまでの歴史は長い。CBSがEye Visionシステムと名付け、15年前のスーパーボウルで起用したのが始まりだ
FOXスポーツは、初披露のBe The Player技術に加え、今までにない大量の4KカメラとハイスピードカメラをNRGスタジアムの現場に持ち込むという。これら特殊カメラを合わせて70台、加えてスタジアムに近いヒューストンにあるディスカバリーグリーン公園敷地に設置するオンセットスタジオでは、3台の中継車と30台以上のカメラを揃えて20時間以上の番組を放送する予定。
(ザッカメッカ)