ライブプロダクションの米Bexelが開発したスマートフォンサイズで最大8倍速(480fps)のHDスローモーションを捉えることが可能なライブカメラシステム「Clarity 800」を、ニューオーリンズで開催されたNBAオールスターウィークエンドの試合中継で採用した。

Bexelは、世界規模のスポーツイベントなどで活躍するリモートカメラシステムを得意とするCamera Corpsの協力を得ながら、1年以上前から同カメラ開発に取り組んできた。従来はカメラ内部で記録したデータをプロダクション側に持っていくが、それを通常の放送カメラと同様のフローにしていきたいというのが一番の課題だったという。

カメラ出力は、本体のPCIeから最大40Gbpsスループットでプロセッサーへ転送しRAW映像処理を行った後、ファイバーでプロダクションへ送られる。カメラとプロセッサ間の距離は、約47mまで可能。同カメラのフィードは、汎用プロダクションサーバーやグラフィックシステムで使うことが可能。今回はDリーグ戦中継で2台を用いた。1台はバスケット支柱の内側に設置して上側を見るような恰好で選手やボールの動きを捉え、もう1台はバックボードの背後に設置された。

高さ12cm×幅6.5cm×幅2.55cm

Micro Four Thirdsを採用したことで、このスマートフォン同様のコンパクトサイズが実現した。7メガピクセルのセンサーを搭載し、F11の感度(2000lux)を持つ。映像フォーマットは、1080p/i、720pに対応し、4倍、6倍、8倍速のハイスピード収録にも対応。本体にはポジティブロック機構マウントアダプタを持ち、フォーカス、アイリス、ズームを制御でき、またRCPからカメラの色補正制御が行える。

Bexelは今回の中継採用実証を機に、今後レンタルカメラとしての運用および販売を展開する。4月22日から米ラスベガスで開催される放送機器展NAB Showにて実機を展示する予定(ブースNO.C6025 )。また本カメラと同様サイズで2倍速スローを可能とする4Kライブカメラシステムも開発中だという。

(ザッカメッカ)