少人数で機材をセッティング後、そのまま中継。スタイリッシュな中継車を目指したSMART PROCAST
システムファイブは4月5日(水)~4月7日(金)、東京ビッグサイトで行われた第1回 映像伝送EXPOにブースを出展した。映像伝送EXPOとは、未来の通信や放送インフラに必要な伝送システムを展示する今年が初開催のイベントとなる。
災害時リアルタイム伝送システムコーナー。金子総務大臣政務官も視察に来て頂いた
ライブ映像制作配信システムコーナー。IPベースで映像・音声が接続可能なNDI対応の製品が並べて展示されていた
システムファイブのブースは、「SMART PROCAST」「災害時リアルタイム伝送システム」「ライブ映像制作配信システム」の3つのコーナーに分けて出展。「SMART PROCAST」コーナーではミニ中継車を展示し、「災害時リアルタイム伝送システム」コーナーはキヤノンの高感度のカメラを使った緊急時や災害時に活躍ができる機材などを展示。「ライブ映像制作配信システム」コーナーでは、送られてきた映像をそのままリアルタイムにYouTube LiveやIBMクラウドビデオにリアルタイム配信できるということをアピールしていた。
このような3つのコーナーの展示ブースの中でもひときわ注目を浴びていたのが、IP対応のスマート中継車の「SMART PROCAST」だ。今回の映像伝送EXPOの中でもこのIP対応のスマート中継車が放送局の関係者たちの間で話題となっていた。「SMART PROCAST」について気になるところを同社 取締役 楠本慎太郎氏に話を聞いた。
「SMART PROCAST」誕生したきっかけとは?
IP対応中継車のSMART PROCAST。天井には太陽光充電モジュールを搭載している
楠本氏:一言で言えば時代のニーズなのですが、弊社ではこれまでも大型の中継車を数多く手がけてきました。その中でお客様との対話の中で小回りの効く中継車はないのか?少人数で稼働できる中継車はないのか?という様々な声がありまして以前から構想はありました。機材やインフラの進化によって小型でも十分機能を満たす小型中継車が可能なタイミングになったかと思いました。
モバイルを使った伝送装置もかなり優秀です。モバイル回線を3本束ねて映像を送ったり、6回線、10回線などの3種類の運用形態に対応できることも可能になりました。コンセプトは、少人数で乗り付けて、機材をセッティングし、そのまま中継する。そんなスタイリッシュな中継車です。
現在は、視聴者の環境も変わり、テレビではなくスマートフォンでの動画視聴も当たり前のようになりました。もちろん従来のコンテンツも大事ですが、それ以上求められているのが、即時性なのでないかと思います。画質よりも機動力が欲しいという声もあり今回「SMART PROCAST」をご提案させていただきました。
ニーズに合わせて、アップグレード車種や搭載機材は自由に組み合わせ可能
SMART PROCAST車内。操作テーブルに埋め込まれたTriCaster Miniのコンソール。下段の引出しテーブルには、テロップ入力などで使用するキーボードを装備している
SMART PROCASTには中継車としてどのような機材が搭載されているのか?搭載機材とその理由について聞いてみた。
楠本氏:例えば映像制作配信システムには、4カメまでのSDIやHDMIに対応するTriCaster Miniを搭載しています。オーディオミキサーも車の中からオペレーションができることも実現したいと考えていました。
また、リアルタイムに配信も可能ですし、収録は、TriCaster Mini自身とバックアップ用で4K収録対応モニター一体型レコーダー「SHOGUN STUDIO」で対応します。今回のSMART PROCASTにはこの組み合わせですが、これは一例に過ぎません。車種や搭載機材は、お客様に応じていくらでも組み合わせが可能です。その自由度が高い部分もSMART PROCASTの特徴と言えますね。
SMART PROCASTオペレーション機材群。操作性を重点に設計しながらも高機能な機材を装備。自在に角度を変えられるメインモニターをはじめ、TriCaster Miniや2カメ同時記録のできるSHOGUN STUDIOなどを搭載している
SMART PROCASTの後景。バックモニターはガラス越しでも視認性の高いので、緊急時には情報サインとして活躍できるようになっている
放送業界から大きな反響
SMART PROCASTを実際に見た人は驚きの反応が多かったという。具体的な反応を聞いてみた。
楠本氏:テレビ局やCATV局の方の反応が想定したよりもかなり多かったです。「夢のあることをやっているな」とか「よくこの大きさに収めたね」という感想を頂きました。レンタルがあれば是非利用したいという話もありました。
SMART PROCASTは、機動性やワンマンオペレーションが簡単という大型中継車が不得意な部分もカバーできます。大型の中継車を普段から使ってらっしゃる方からも、「サテライトでほしい。ミニ中継車であればちょっとした取材でも対応しやすい」という感想も頂きました。
SMART PROCASTは、ドローンを収納できるのも特徴だ。展示ブースでは、手のひらサイズの小型PCにリナックスを搭載してドローンが動く状態で参考出品という形で展示されていた。今後は、ドローン搭載中継車のSMART PROCASTというモデルも期待ができそうだ。
SMART PROCASTのバックドア内。高輝度バックモニターはパブリックビューイングや広報装置として機能する。また、緊急時の情報収集に長けたドローンを搭載することも可能