Blackmagic Designの発表によると、シンガポールに拠点を置く制作専門会社であるThe Flying Kick Asiaが、同社の短編フィルムシリーズの撮影にBlackmagic URSA Mini Proを使用し、同シリーズのカラーコレクションにはDaVinci Resolve StudioとDaVinci Resolve Mini Panelが使用されたという。
The Flying Kick Asiaは、多くの時間とリソースを費やし従業員にトレーニングを提供している。毎年マーケティング予算を「個人プロジェクト」に割り当て、技術と機器に関するチームの知識と能力の限界を押し上げることを目的に作品制作を行っており、2017年は4本の短編の制作を予定している。
短編フィルムシリーズ第2作目である「Sarah」は、ハリラヤを題材にした短編で、わずか1日で撮影および制作が完了したという。「Sarah」は異文化間の恋愛での悲劇を描くシンガポールならではの作品で、監督のドン・アラビンド氏が脚本、監督を担当した。
作品は、非ムスリムのインド系男性Karthikがハリラヤのお祭りで賑わう中、ある家族を訪れる姿を追う。交わることの稀な2つの文化の間を舞台として、イスラム教の行事であるラマダンを背景に、出身や立場、過ちの度合いに関わらず受け入れてくれる家族の大切さや有り難みを強調する作品だ。
The Flying Kick Asiaの設立者で、クリエイティブプロデューサー兼カラリストでもあり、今回のフィルムの照明監督を担当したニコラス・チー氏は次のようにコメントしている。
チー氏:この作品は、Blackmagic URSA Mini ProでISO800およびBlackmagic Design Filmカラースペースを使いました。様々なロケ地で、多様な照明環境で撮影しましたが、内蔵NDフィルターで映像のトーンに一貫性を持たせることができました。
ドンからBlackmagic URSA Mini Proで撮影したいと聞いた時、低照明条件での撮影に関して懸念していたのですが、ProRes HQで撮影したフッテージにはほとんどノイズが存在しないのはうれしい驚きでした。さらに、露出不足のショットはポストプロダクションの段階でDaVinci Resolveで補正できました。むしろ、独自の質感を作るために最終的な映像にフィルムグレインを足す必要すらありました。
ここの作品では、5つのシーンを3ヶ所のロケ地で、たった1日で撮影する必要があったので、非常に迅速な作業が要求されました。したがって、照明も持ち運びに優れて、設営と撤収が簡単に行えるものを使用しました。Blackmagic URSA Mini Proは以前一度使用しただけだったので、「Sarah」は新しいテクニックを試す良い機会で、URSA Mini Proに対する知識を深めることができました。
チー氏:考え方が古いと言われるかもしれませんが、カメラは借りるものではなく所有するべきだと考えています。職人として、自分の使うツールを細部まで知り尽くすべきだと思うので、ツールを四六時中、自分の身近に置いておくことでのみ、それが実現できると考えています。
Blackmagic URSA Mini Proは驚くほど手頃な価格なので、購入を迷う理由はないと個人的には思っています。シリーズの4本の作品は、それぞれ別の監督が指揮をとります。監督のビジョンを実現するために、スタッフ全員が努力を重ね続けることで互いに学ぶことができると思います。Blackmagic URSA Mini Proは、本当に信頼がおける製品だと思います。撮影中に一度も問題を起こすことはありませんでした。シンガポールの気温は37°Cに上ることもあるのですが、物ともせずに撮影が続けられました!
チー氏:次のフィルムではProResの代わりに、RAWでの撮影を決めています。ポストプロダクションでの可能性の幅が広がるので、ぜひ試してみたいと思っています。現在、弊社で扱う全てのプロジェクトのカラーグレーディングにDaVinci Resolve Mini Panelを使用しています。ボールを使ったコントロールでは、希望通りのルックを得るためのカラーの微調整を繊細かつ正確に行えます。