シャープは、8K60p映像の「撮影」「収録」「再生」「ライン出力」が可能なカメラ/記録部一体型の業務用8Kカムコーダー「8C−B60A」を2017年12月に発売する。希望小売価格は税別880万円。8K映像関連技術を有するアストロデザインの技術協力を得て開発した。

8K60p映像の撮影だけでなく、撮影、収録時の扱いやすさや、収録後の編集作業の負荷低減にも配慮した設計となっている。映像素子には3300万画素のスーパー35mm相当の単板CMOSイメージセンサーを搭載し、圧縮方式にはCPU負荷の低いコーデックを採用。8K60p映像の編集作業の効率化と約40分間の連続収録(同梱の2TB SSDパック使用時)を実現している。また、映像を収録しながら、8K60pの非圧縮映像をリアルタムで出力できるため、ライブ配信にも活用できるとしている。

都内で行われた製品発表会では、まず最初にシャープ 取締役 兼 執行役員 8Kエコシステム戦略推進室長の西山博一氏が挨拶。2016年5月に8Kスーパーハイビジョン放送を受信できる高度広帯域衛星デジタル放送受信機を発表し、今年8月31日には、日本、台湾、中国、ヨーロッパで同時発表した世界初の8K対応テレビ「8K対応液晶テレビ」を発表。日本では12月1日に発売する。また、放送以外でも9月27日に8K硬性内視鏡システムを発表してきたとアピールしていた。今回の8Kカムコーダーによって、「新生シャープが業務用カメラという入り口部分の領域に参入。新しい領域に名乗りを挙げた」と語った。

シャープ 取締役 兼 執行役員 8Kエコシステム戦略推進室長の西山博一氏

シャープ 常務 電子デバイス事業本部長 森谷和弘氏は新製品の特徴について、「撮影」「収録」「再生」、「ライン出力」この機能を一体型カムコーダーとして、世界で初めて実現し、従来のカメラと同様の使い勝手を8Kでも実現するということで、8Kの映像制作を身近に感じていただくことができる、と紹介していた。

また、PLマウントのレンズ交換方式に対応しており、8Kの臨場感を重視するような撮影が可能。汎用性を持たせることによって、応用の範囲が広がってくるとのこと。

カムコーダーは記録部も備えており、ワンマンで撮影、収録が可能。スタジオの中だけでなく、アウトドアでの撮影など、場所も選ばずに8Kの収録が行える。

カメラ本体に8K60pの映像出力端子を装備しており、8Kの映像収録と同時に8K映像の出力もでき、臨場感のある映像を生放送で視聴者に届けることができるとしていた。

発表会の会場には、EDIUSを使った8K収録素材の編集システムのデモも行われていた。再生と倍速はリアルタイムで可能。搭載メモリは64GBと非常に高スペックなPCを使用。

EDIUS 8を使った編集システム

編集のデモに使われていた素材のプロパティを確認してみると、フレームサイズは7680×4320、コーデックはGrass Valley HQX Codec。こちらのコーデックにより、2TBのSSDで40分の連続収録を実現している。

素材のプロパティの様子

レンズマウントはPLマウントを採用

Vマウントバッテリー駆動により、8K撮影時におけるワンマン運用を実現している

12G-SDI出力端子を装備。収録と同時に非圧縮映像の出力が可能。SDIの右側にはSSDパックのスロットを1基備えている