8K IP伝送装置(送信機)の外観

NHKは、8K映像や音声などの番組素材をIP信号で有線伝送できる8K IP伝送装置の開発を発表した。中継現場と放送局をIP回線で結び、8K番組の制作に使用するとしている。

8K番組の素材を大阪-東京間などの長距離を伝送する装置は、これまで40ギガビット/秒の映像を数百メガビット/秒まで圧縮して伝送していたため、番組制作の用途としては画質の劣化が大きく、また圧縮・復号に数秒程度の処理時間が必要であったことなどから生中継番組の制作には不向きだったという。

今回開発した装置は、現在商用として普及している10ギガビット/秒のIP回線を利用することを想定し、8Kの映像を8ギガビット/秒程度に圧縮したのち、IP信号化して伝送する。この装置に適用した圧縮技術の圧縮・復号にかかる処理時間は、1映像フレーム時間を大きく下回る、数十マイクロ秒と短いため、中継現場の映像を高精細な画質を維持したまま、低遅延で伝送できるようになったとしている。

さらにIPによる伝送では、8K映像や音声、連絡信号などの異なる信号を1本のIP回線に束ねることが可能。また、信号を中継現場と放送局の双方向でやり取りすることもできる。