アストロデザイン株式会社の発表によると、スカパーJSAT株式会社、富士通株式会社と共同で通信衛星を使用した8K映像伝送実験を行い、アストロデザインの8K変換技術の活用により、現行の4Kエンコーダー/デコーダーでの8K映像送受信が可能であることを実証したという。
現在、8K映像を伝送する際には専用のエンコーダー/デコーダーが必要だが、8K専用のエンコーダー/デコーダーは高額であるため、現行の4K技術や製品を用いることでの利便性の向上や、利用シーンの拡大が期待されているという。
これまでスカパーJSATは、4K H.265/HEVCエンコーダー/デコーダーを送信・受信各4台を用いて、画像を4画面に分割して伝送する検証を進めていたが、この手法では分割した4画面それぞれの画像の複雑度の違いにより画面間に境界線が表れてしまう現象が発生していた。また、これを避けるには非常に多くの伝送帯域を必要とするため実用的ではなく、8K専用エンコーダー/デコーダーが必要だった。
今回の共同実験では、上記現象の改善策として、アストロデザインの8K変換技術により2SI信号へ変換したことで、現行の4Kエンコーダー/デコーダーで圧縮/伸長しても境界線を出さずに合計120Mbpsの8K映像を伝送し映し出すことに成功した。実証実験の概要は以下の通り。
(以下、プレスリリースより引用)
- 実施日:2018年5月8日(火)
- 目的:2SI分割した8K映像を現行4Kエンコーダー/デコーダーで送受信すること
- 送信場所:衛星ネットワーク株式会社 戸田SNG車庫
- 受信場所:アストロデザイン(株)雪谷本社
伝送使用機材
- 映像出力:アストロデザイン8K SSDレコーダHR-7518
単盤式カメラヘッドAH-4801-B
8K対応2SIコンバータ- 4Kエンコード/デコード:富士通 FUJITSU Network リアルタイム映像伝送装置 IP-HE950
- 映像表示:アストロデザイン 8K液晶モニタDM-3815 8K DLPプロジェクター
- 使用衛星:JCSAT-3A 合計120Mbpsによる伝送
同実験の成功により、放送事業者や通信事業者が既に所有している4Kエンコーダー/デコーダーを使用し、今までよりも容易な8K伝送が可能になるとしている。また、スカパーJSATの通信衛星を利用することにより、スポーツイベントなどでの8K中継や、多拠点への8Kパブリックビューイング、4面までの4Kマルチスクリーン、ドームシアターへの中継などでの利用が期待されている。