最新のシネマカメラに対応したフルサイズセンサー対応シネマレンズ
カールツァイスジャパンは5月26日、東京品川区のIMAGICA東京映像センターにて、フルフレームレンズ「Supreme Prime」(スプリームプライム)を詳しく紹介する発表会を開催した。
Supreme Primeの詳細なプレゼンテーションを担当するのはカールツァイスジャパンの小倉氏。「ネット上では先行して写真やいろんな情報がでておりますが、今日は皆様に噂ではない正しい情報をお伝えします」と前置きをして新製品の紹介を開始した。
カールツァイスジャパンの小倉氏
Supreme Primeの焦点距離は15mmから200mmで13本のラインナップし、今年の8月から2020年に向けて順次リリース。来週6月1日から6月2日にかけて行われる今年のCine Gearでは、25mmから85mmの5本のレンズの実機を展示するという。
15mmから200mmまで13本の焦点距離をラインナップ
Supreme Primeの第一の特長はラージフォーマット対応。2017年から今年にかけて、ARRIのALEXA LF、REDのMONSTRO 8K VV、ソニーのVENICE、キヤノンのEOS C700 FFといったラージフォーマット対応のセンサーサイズを搭載したカメラが多数リリースされたが、Supreme Primeの46.2mmのイメージサークルはすべての新しいカメラに対応。今後の10年、業界の第一線で活躍できるレンズと位置づけている。
Supreme Primeの46.2mmのイメージサークルは、ARRI ALEXA LF Open Gate、ソニーVENICE Full Frame、RED MONSTRO 8K Vista Visio、キヤンC700 FFのセンサーサイズをカバーする
Supreme PrimeのT値は1.5で、広角側はT1.8、テレ側はT2.1ではあるもののハイスピードな絞り値を実現。近距離から遠距離まで絞りの選べる選択肢を広げている。昨今カメラの高感度特性を活用して室内で絞り込んだり、ハイスピードレンズ本来の使われて方の絞りを開けて浅い深度を使うなど、デイでもナイトでもいろいろな絞りを使えるという。
多くの焦点距離で1.5のT値を実現。高感度特性を活用し、室内でも絞り込んだ撮影なども可能
これまでのツァイスはちょっとシャープすぎると指摘されることがあったという。そこでツァイスにはボケだけを研究している「ボケマスター」や「ボケキング」と呼ばれる設計者によって、各焦点距離で均一に同じテイストでボケが表現できるように力点を置いて開発。近接撮影のときの前後のボケなど、これまでのスーパー35のレンズよりも表現領域を広げている。
Supreme Primeはいずれのレンズも円形の14枚の絞り羽根を採用。前後のボケは円形となり、レンズの存在を感じさせない自然な映像を実現。ボケの丸さに関しては、ツァイスのシネレンズの中でも匹敵できるものはないと社内で評価されているという。
Supreme Primeは、T1.5を達成しながら前枠は95mmのコンパクトサイズ、重量は平均1.6kg以下で、ツァイスのエントリークラスのCP.3より少し重い程度を実現。ラージフォーマット対応、ハイスピードで小型化、軽量の実現はメカ設計のスタッフの努力の結果だという。
ZEISS eXtended Dataテクノロジーに対応しており、フォーカスの位置、絞り値、被写界深度の正確な情報を読み取りができる。Silver StackやLiveGrade、DaVinci Resolve、Nukeに対応しており、レンズのフォーカスの位置に合わせてディストーションの補正、周辺光量の低下を補正してオンセットで確認することにより再撮のリスクを抑制できる。
最後に焦点距離の詳細と発売時期を紹介。Supreme Primeは、CPシリーズにはなかった65mmや150mmをラインナップし、従来のシネの世界で親しまれていた焦点距離の拡充をしている。来週のCine Gearでは、25mmから85mmの5本のレンズのほかに100mmのプロトタイプの展示もあるかもしれないという。
Supreme Primeを3台のカメラをセットアップして実機を展示
発表会には、カールツァイスジャパンの代表取締役社長Stefan Sacre氏やドイツのカールツァイス本社で製品のプロダクトマネージメントとマーケティングの両方を統括しているSebastian Döntgen氏も出席。Sebastian氏は、人の手によって1本1本丁寧に作られるレンズを見るたびに素晴らしい映像作品に結実することを誇りに感じるとSupreme Primeをアピールした。
カールツァイスジャパンの代表取締役社長Stefan Sacre氏(左)とドイツのカールツァイス本社で製品のプロダクトマネージメントとマーケティングの両方を統括しているSebastian Döntgen氏(右)発表会の終了後、野外でSupreme Primeの実機を展示。3台のカメラをセットアップした形やレンズ単体を手に持って検証できる機会が設けられていた。そのうちの1台は、ソニーのVENICEとSupreme Primeの29mmを組み合わせて展示。佐光朗氏が監督と撮影監督を努めたショーリール「継」では、ソニーのVENICEを使って撮影が行われた。
ALEXA miniとSupreme Prime 25mmの組み合わせ
REDとSupreme Prime 35mmの組み合わせ
Supreme Primeの50mmと85mm