Blackmagic Designの発表によると、国立能楽堂の共聴・監視システムにATEM Television Studio Pro HD、ATEM 1 M/E Production Studio 4K、HyperDeck Studio Mini、HyperDeck Studio Pro、Smart Videohub CleanSwitch 12×12、SmartView 4K、SmartScope Duo 4K、Mini Converterを導入したという。
国立能楽堂は、1983年に竣工された能および狂言を主体とした公演場。627席の劇場以外にも、資料展示室および図書閲覧室などの施設も充実している。国立能楽堂では今回、開場以来35年間使用されていたNTSC方式で構築された共聴・監視システムのハイビジョンシステムを大幅に更新。機材の選定を担当した国立能楽堂事業推進課専門員の馬場昭満氏は、システム更新の理由について次のようにコメントしている。
馬場氏:世の中のハイビジョン化に対応する必要があると考えていました。公演記録のために収録を行うシステムは既にハイビジョンになっていますが、監視システムがNTSC方式のため機器的に整合性が取れないというのもあり、今回、監視システムの大幅な更新を行いました。
また現在、収録された映像はテープでのオンライン編集を行なっています。オンライン編集は時間がかかる上にミスがあった場合のリスクも大きく、それらを解消すべく今後オフライン編集にスムーズに移行できる環境を整えるために、Blackmagic Design製品を選定いたしました。
共聴・監視システム用のカメラは、能舞台関係に3台、研修能舞台に2台、大講義室に1台設置されている。Smart Videohub CleanSwitch 12×12が核となり、その計6台のカメラの映像が約20部屋ほどの各部屋のモニターに送られている。部屋ごとに各役割を持っており、進行状況を見ながら、アナウンスや照明、清掃、出演者の出入りなど、すべてモニターを中心に作業を行っている。
馬場氏:Blackmagic Design製品で今回構築したシステムでは、公演に必要な映像を各部屋に供給するためのルーターと、公演記録のバックアップ用の収録をするためのシステムを導入しています。ATEM 1 M/E Production Studio 4Kで、複数のカメラのスイッチングをしてHyperDeck Studio Proで収録をしています。HyperDeck Studio ProはタイムコードのXLR入力ポートがあり、オフライン編集にも対応できるということがポイントでした。また、HyperDeck Studio Miniでは、固定カメラの収録を行っています。
HyperDeck Studio Proで収録した映像にスイッチングのミスなどがあった場合、HyperDeck Studio Miniの映像と差し替えられるようになっています。公演は一度きりしかないため、ミスをカバーできる仕組みにしました。また、オフライン編集への移行を目指しているため、今後はDaVinci Resolveも使用していきたいと考えております。
収録された能舞台の映像は、歴史的資産として能楽堂に保存されている。そして定期的に、映写会などを開いて上映したり、研究者へ貸出しを行うなど、講座等の資料としても活用されている。
馬場氏:スイッチングだけでなくオーディオコントロールが搭載されているATEM Television Studio Pro HDのおかげで、ワンマンでの収録が可能となりました。公演収録には6名のスタッフを要していますが、Blackmagic Design製品で構築されたバックアップ用の収録システムはすべてを1人で行うことができます。これはとても大きなメリットです。
ATEM 1 M/E Production Studio 4Kはマルチビューアの機能があり、SmartView 4K 1台で、複数のカメラをモニタリングできます。1台のカメラに対して1台ずつモニターを用意する必要もなく、とても効率的です。そして今回導入した機材は、全てフレームシンクロナイズ機能がついており、これによりどんな機器でもシンクロさせることができるので簡単に接続させることができます。Blackmagic Design製品は、安価にも関わらず必要な機能がすべて揃います。今回のスタジオ更新にはBlackmagic Design製品が欠かせないものでした。