株式会社メディアキャストは、2018年12月に開始予定の「新4K8K衛星放送」におけるデータコンテンツサービス用のコンテンツ動作検証を行うためのエミュレーションソフトウェア(試作版)を、A-PAB(放送サービス高度化推進協会)、NHK(日本放送協会)およびBS民放各局、制作会社に納入したことを発表した。
メディアキャストでは、A-PAB向けに、同エミュレーションソフトと併せて、受信機向けテスト用データコンテンツも納入しており、A-PAB会員である各受信機メーカーによる「新4K8K衛星放送」対応受信機の製品化に向けた検証用として使用されている。
同エミュレーションソフトは、ARIB(電波産業会)が規格策定中の「ARIB STD-B61」「ARIB STD-B62」「ARIB TR-B39」に準拠し、コンテンツ動作検証に必要な充実した各種機能を搭載しており、開発したデータコンテンツが今後発売される新4K8K衛星放送対応受信機で正しく動作するかどうかを実際のリモコンを模したUI(ユーザインターフェース)で動作確認することができ、コンテンツ記述言語であるHTML5やイベントメッセージ発火などのデバッグも可能。同ソフトウェアにより放送規格に準拠したコンテンツ開発が可能となり、本放送開始に合わせて確実なコンテンツ準備や、本格的な運用開始後も信頼性の高い新しい放送サービスを最短期間で投入していくことができるとしている。
新4K8K衛星放送のデータコンテンツサービスでは、コンテンツ記述言語としてHTML5を採用。今回開発したエミュレーションソフトでは、データ放送用BML オーサリングツール「Foliage(フォーリッジ)」や、ハイブリッドキャスト用HTML5コンテンツ制作ツール試作版「amphibious(アンフィビアス)」などで、メディアキャストの制作技術やノウハウが活かされている。新4K8K衛星放送データコンテンツサービス用コンテンツエミュレータの主な機能は以下の通り。
(以下、プレスリリースより引用)
(1)画面プレビュー機能
- ARIB STD-B62で規定される放送用拡張関数にネイティブ対応しており、本ソフトウェアで検証したコンテンツはそのまま放送用として使用可能
- コンテンツの縮小表示により4K・8KコンテンツもHDモニタで確認可能
- 通信コンテンツだけでなく、PCローカル上の放送コンテンツのシミュレートも可能
(2)JavaScriptデバッグ機能
- ブレークポイントの設置によりステップごとにスクリプトの実行が可能で、各JavaScript変数のデバッグも可能
(3)リモコンシミュレート機能
- 実際のリモコンを模したUIよりコンテンツの動作確認が可能
(4)イベント発火シミュレート機能
- イベントメッセージの発火シミュレートが可能
(5)URI変換機能
- URI変換により、PCローカル上のコンテンツを通信コンテンツとしてシミュレート可能
(6)AIT関連機能
- AIT(アプリケーション情報)に関するエントリポイント、バウンダリ、パーミッションなどの動作をシミュレート可能
- 通信コンテンツ上のXML形式AITだけでなく、放送コンテンツのMH-AITのシミュレートにも対応
- 放送コンテンツはデータコンテンツ交換方式に対応
(7)更新処理のシミュレート
- 放送コンテンツ、データリソース、MH-AIT、EIT、字幕情報更新のシミュレートに対応
- 時間指定およびUIからの任意のタイミングでの更新が可能
(8)NVRAMのシミュレート
- NVRAM(Greg、Ureg、その他NVRAM領域)のシミュレートに対応
- UIより参照・変更が可能
コンテンツエミュレータ操作画面
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