高校放送機器展事務局とVookは、7月23日から25日の3日間、東京・渋谷にあるVook Space Tokyoにて、高校放送部に所属する生徒や高校放送部関係者の方を対象とした総合展示会「高校放送機器展2018」を開催した。
同機器展は、全国放送教育研究会連盟と日本放送協会が主催する高等学校の放送コンテスト「NHK杯全国高校放送コンテスト」に合わせて開催しているもので、全国から約2万人の高校生が集まる同コンテストから、約1割の来場を見込んでいるという。映像業界のメーカーが出展した展示会場の様子を紹介しよう。
ソニーとパナソニック:4K対応のカメラをアピール
ソニーブースはカメラを中心に展示
ソニーは、アクションカム「FDR-X3000R」や、ビデオカメラレコーダー「FDR-AX700」を展示。モニターで4K映像を公開し、4Kの美しさをアピールしていた。このほかにも、デジタルスチルカメラ「DSC-RX100M6」、「DSC-RX0」といったカメラの展示も目を引いた。
パナソニックブースはAU-EVA1の実機や映像を展示
パナソニックはコンパクトシネマカメラ「AU-EVA1」や、4Kメモリーカード・カメラレコーダー「AG-UX180」を展示。高校放送機器展には初出展で、学生たちにパナソニックというブランドをアピールしたいとのことでEVA1やUX180を展示したという。
TASCAM:生放送を盛り上げるための効果音演出に最適な「US-42」
TASCAMブースは番組の効果音や一人で質の高いパーソナル放送を実現するためのオーディオインターフェイスを展示
TASCAM製品は全国の学校にほぼ導入されているメーカーで、ブースでは生徒から機材の使いこなしなどの質問に対応可能な場所にもなっていた。
簡単に音声演出を実現する「MiNiSTUDIO CREATOR US-42」
展示品で面白かったのはポン出し機能とボイスエフェクト機能を搭載した「MiNiSTUDIO CREATOR US-42」。デモ機は中央のPONキーを押すと拍手や笑い声などの効果音演出ができるようになっていた。パソコンのミュージックフォルダーなどに入っている音声データを専用アプリケーションにドラッグ&ドロップするだけで設定が可能。1曲まるごと設定もできる。家庭用で、ニコニコなどの生放送の配信者が自分の放送を盛り上げてるために最適な機材だという。
KPI:白色光以外にもさまざまな色彩の組み合わせて投影できるLEDライト「WASP 100-C」
KPIはライトを中心に展示。その中でも目立っていたのは、100Wの消費電力でタングステンライトの650Wと同等の出力を持つ「WASP 100-C」。iPhoneやiPadのアプリから調光、彩度、色相、色温度などパラメータを変更することが可能。メインの被写体への投影に使えるが、白ホリに色を付けて演出に使われるのが多いのではないかとのことだ。
色のコントロールを可能なのが特長。紫、黄色、青に設定してみた
iPhoneやiPadでDimming、CCT、Saturation、Hueを設定して、ライトの色をコントロールできる
プロ機材ドットコム:色が変えられる「ロールフレックスLEDライト」のニューモデル登場
プロ機材ドットコムブースではさまざまななLEDライトや背景を展示していた
プロ機材ドットコムでは、あらかじめRGBで作って登録をすることができるロールフレックスLEDライトのニューモデルを展示。背景紙を交換は手間のかかる作業だが、同製品を使うことにより手軽に背景の色を変えられたり、ドラマや映画の女優の顔に赤、黄色、緑の信号の点滅を表現するなどに使えるとのこと。
色が変えられる「ロールフレックスLEDライト」のニューモデル
コントローラーボックスで明るさや色温度、色を作成できる
また、既存商品の色温度は3000kから5600kだったが、ニューモデルは2700kから10000kまでの色温度に対応。これまでの5600kでは足りないという声も多く、さらに高い色温度に対応したという。
Multicamlaboratory:HDMIの映像と音声をiPhoneやiPadでモニタリングできる「モバイルワイヤレスモニタリングシステム」
HDMIの映像と音声をWi-Fiルータ不要でダイレクトにiPadやタブレットなどへ配信できる「モバイルワイヤレスモニタリングシステム」を展示。撮影現場では、出演者やディレクターが映像を確認したいという話になりがちだが、そのためだけにモニターを現場にもっていくのは大変だ。そんな場合に、誰もがもっているiPhoneやAndroidをモニターにできるとういうのがこちらのシステムの特長だ。5台のタブレットやスマートフォンとペアリングができる。
カメラで撮影した映像をタブレットのモニターで確認できる。5台までのタブレットやスマートフォンに対応
銀一-RODEのマイクや現場で役立つ9.SOLUTIONSの製品を展示
銀一ブースではRODEのマイクをほぼすべて展示していた
銀一は、高校放送機器展ということでRODEや9.SOLUTIONSなど購入しやすいものを選んだという。RODEは学生でも使っている人が多いということで、RODEマイク製品をほぼすべて展示していた。
9.SOLUTIONSはさまざまなクランプをリリースしている。こちらはバラクーダクランプ
9.SOLUTIONSは、スライダーやクランプをリリースするブランド。クランプというとマンフロットのスーパークランプが有名だが9.SOLUTIONSもバーやリグに取り付けられるものを多数リリースしている。
セイバースプリングクランプ。合計10kgまでのアイテムを搭載可能でマイクなどの取り付けが可能
ATV:最小で多機能なミキサー「A-PRO-1」を展示
インターネットライブ中継などに最適なAVミキサー「A-PRO-4」
ミキサーやスイッチャー、コンバーターを4種類展示。「A-PRO-4」は2KのAVミキサーで、SDI2系統、HDMI2系統の4入力に対応。ディゾルブ、カット、ワイプ、ピクチャ・イン・ピクチャなど一通りの機能をもっている。クロマキーにも対応する。
テレビ会議やプレゼンテーションの現場に最適な設備用途向けのスイッチャー「MS-8」
「MS-8」は、設備用途向けのスイッチャーでラックマウントを採用。8入力に対応し、SDI2系統、HDMI2系統のほかに、古いタイプのパソコンに対応するアナログRGBやコンポジットのビデオにも対応する。内蔵スケーラーにより、すべての映像入力信号を最適なフォーマットに自動変換する。想定用途は、会議室など複数の人が出入りするところで、あらゆるものを繋げることを想定している。
A-PRO-4とMS-8には、背面にUSB 3.0の端子を搭載。ここからスイッチングした結果をコンピュータに向けて出力することができる。コンピューターはカメラとして認識するのでライブ配信が可能。
2系統の4K/60PのHDMI映像・音声信号が処理可能な、コンパクトAVミキサー「A-PRO-1」
「A-PRO-1」は、4K対応の小型のスイッチャー。ワイプでやピクチャ・イン・ピクチャ、開発途中でまだ動いていないがクロマキーを搭載。
天板と底面にはカメラスタンドのネジ穴が空いており、三脚とカメラの間に挟み込んで設置することができて、現場のカメラマンがワンマンオペレーションで手元に切り替えるスイッチャーとしての用途を考えているという。
一人で2台のカメラを持って、1台は全体を映して固定。もう1台は自分で持って撮影というケースがあるが、そういった際に現場である程度映像を切り替えてその結果を録画し、後工程を楽にするといったことができそうだ。
他にも見逃せない展示が盛りだくさん
昨年は、アドビやブラックマジックデザインのセミナーにも会場に入りきれないほどの来場者が集まったが、今年はEDIUSやCINEMA 4D、DaVinci Resolveなどアプリケーションの幅を広げて行われていた。
アニコンのデモをする北村氏
高校放送機器展の出展社ではないが、モバイルVRプラットフォームを開発するワンダーリーグの代表、北村勝利氏が会場で3Dアバター操作・配信システム「アニコン」をデモしていた。ライブ配信が流行っているが、顔出しをしたくない。そこで、アイドルや第三者になりきって、YouTube、Facebook、Twitterへのライブを可能にするものだという。
VTubeというと大掛かりなシステムを用意しなければいけなかったが、アニコンはiPhone Xとコントローラーのみ。iPhone Xのカメラ認識機能を使って顔の演技、コントローラーを使えば手の演技が可能。
顔の向きや表情がそのままキャラにも反映される
頭部以外の部分はコントローラーで操作が可能