Blackmagic Designの発表によると、オーストラリアのプロダクション会社Avoca Blueが、最近開催されたメルボルン・シンフォニー・オーケストラ(MSO)の特別公演のキャプチャに、URSA BroadcastカメラおよびATEM 1 M/E Production Studio 4Kライブプロダクションスイッチャーを使用したという。同公演は4Kでキャプチャされ、8台のカメラを使ったプロダクションにおいて、その他にも多くのBlackmagic Designカメラや放送関連の製品が使用された。
ブラジル人ピアニストのネルソン・フレイレ氏、オーストラリア人ヘルデンテノール歌手であり、グラミー賞ノミネート歴を持つスチュアート・スケルトン氏などのパフォーマンスを盛り込んだ一連の特別公演により、MSOの2018シーズンはスタートを切った。4Kで撮影されたこれらの公演は、オーストラリア国内で放送予定。過去にAvoca BlueがBlackmagic Design製品を使って撮影したMSOのコンサートは中国でも販売され、60万人以上が視聴した。
今回のパフォーマンスを撮影するにあたり、Avoca Blueは合計8台のBlackmagic Designカメラ(2台のURSA Broadcast、1台のURSA Mini 4.6K EF、そして5台のMicro Studio Camera 4K)を使用。これらのカメラからのフィードは、ATEM 1 M/E Production Studio 4Kへ送信された。またBlackmagic Design Talkback Converter、そしてSDIから光ファイバーへの変換用のMini Converter Optical Fiber 12Gも使用された。
プロデューサーのトビー・パーキンソン氏と技術監督のベン・ダウドニー氏は、これまでにもBlackmagic Designカメラを使用して多くのコンサートを撮影、配信しているが、URSA Broadcastを使用するのは今回が初めてだったという。
パーキンソン氏:URSA Broadcastで私が気に入っているのは、手持ちのB4レンズを使用してすばらしい画が撮れることです。これまではシネマカメラ用のレンズを使用していたのですが、ズームが常に制限されていました。コンサートの撮影では、演奏者の指や表情にすばやくズームインしたいことがあるので、高性能のズームレンズを使えるととても助かりますね。これを可能にするURSA Broadcastは、コンサートなどのライブ撮影に最適と言えます。
また、URSA BroadcastはB4レンズを使用できるので、より多くの光をレンズから取り入れることができます。演奏者の指先のショットからオーケストラ全体のショットへとすばやく美しく移行でき、低照明条件でも撮影できると分かっているため、よりクリエイティブなショットに挑戦できるのです。
今回の特別公演では、可能な限り多くのアングルから撮影すると同時に、カメラが目立ったりショットに映り込んだりしないようにするという課題が両氏に課せられた。8台のカメラでコンサートを撮影したが、URSA Broadcast、URSA Mini Pro、Micro Studio Camera 4Kの小型で目立たない形状に助けられたという。
URSA Broadcast、URSA Mini 4.6Kは3人のオペレーターによりセットアップされた。URSA Broadcastはステージに対して45度に設定され、オーケストラ全体のショットとソロリストのクローズアップを撮れるよう、2階席の高さに設置した。URSA Mini 4.6K EFは、ワイドショット撮影用に後方に設置され、5台のMicro Studio Camera 4Kはオーケストラメンバーの間に配置した。弦楽器、金管楽器、ティンパニー、ピアノのエリア、そして最後の1台は指揮者の前に設置された。この「指揮者カメラ」は、指揮者が視聴者に向き合っているような効果を生じさせる。
ダウドニー氏:コンサートを生で見ても、後から放送を見ても、カメラは視界に入りません。使用したカメラはすべて小型なので、アングルをかなり大胆に設定でき、オーディエンスが演奏者と一体となるような臨場感を持たせることができました。Micro Studio Cameraはセットアップや調整も簡単なので、カメラの移動、セットアップをすばやく行えました。コンサート中は、ATEMのカメラコントロールを使用することで、各Micro Studio Cameraのフォーカスや調整をスイッチャーから直接行いました。
Avoca Blueは、オーストラリアで行われる多くのコンサートやイベントの撮影を行っているが、コンパクトで持ち運びやセットアップが簡単なBlackmagic Design製品を重宝しているという。MSOの特別公演を終えた後、8台分のカメラのセットアップとその他の機材を、1台のステーションワゴンに詰め込むことができた。
パーキンソン氏:完全なBlackmagicワークフローを採用したことで、簡単にセットアップ、解体が可能な、大規模な高品質マルチカムプロダクションをクライアントに低価格で提供できるようになりました。光ファイバーコンバーターがあるだけで、80キロの重さのケーブルを持ち運ばずにすみます。
今後Avoca Blueは、Blackmagic Designワークフローを使用してMSOのコンサートを撮影し、クラシック音楽を専門とするドイツの制作/配信会社、Unitel社に提供する予定だという。
パーキンソン氏:MSOのコンサートをドイツ市場に紹介することは、とても大きな仕事となるでしょう。ドイツの放送局は、高水準のものしか受け付けません。私たちがBlackmagic Design製品で優れた映像をキャプチャーして納品し、Unitel社がそれを配信します。