Adobe MAX Japan 2018開催

11月20日、今年もパシフィコ横浜で「Adobe MAX Japan 2018」が開催された。今年もInterBEEとAdobe MAX Japanの会期は近く、両方参加で慌ただしい1週間だった人も多かったのではないだろうか。

広いホールに豪快なステージ。満席の状態で行われたキーノートスピーチの様子

Adobe MAX Japanを改めて紹介すると、アドビ主催のイベントで約40のセッションや展示ブースが特長のクリエイターの祭典だ。午前はキーノートを堪能して、お昼はランチセッション、午後はあらかじめ申し込んだブレイクアウトセッションに参加して、最後はBEER BASHでクリエイターと交流を楽しめるという感じのクリエイティブイベントだ。今年はさらにお祭り感が増し、会場のしつらえや施行もフェスぽい感じを受けた。

すべてのセッションが終了後はビールやオリジナルカクテルを楽しみながら、クラブセッションやスニークレビューが開催された

ランチタイムセッションやブレイクアウトセッション、ワークショップの数は昨年と変わっていない

クリエイティブはデスクトップからiPadへ。モバイルアプリの動向に注目

■誰でも簡単に映像を制作できる「Premiere Rush」

昨年のキーノートセッションはメディアアーティストの落合陽一氏が登壇して大変な見どころだったが、今年は目立ったゲストスピーカーの登場はなかった。Adobe Creative Cloudの紹介中心に話が進められた。

キーノートで気になったのは、モバイルアプリ対応の拡大だ。特に注目なのは動画編集ツール「Adobe Premiere Rush CC」だ。先月のAdobe MAXで正式にリリースされたツールで、映像制作のプロではなくても簡単に映像制作ができるというもの。

特にiPadでピクチャーインピクチャーやカラー調整を行えるのが好評で、カラー調整は多くのプリセットが入っている。また、Premiere Rushには、Premiere Proに搭載しているモーショングラフィックステンプレートを適用することも可能。iPadで編集した素材はクラウドで共有され、途中以降をパソコンで編集することもできる。

オーディオの調整も見逃せない機能が入っており、Adobe Senseiの技術を使った自動ダッキング機能でオーディオの調整をワンクリックで行うことができる。

自動ダッキングをクリックすると、緑のオーディオトラックに山ができた。自動で音調を調整したという印になる

■Photoshopをどこにいても使える「Adobe Photoshop CC for iPad」

iPad版Photoshopも大々的に紹介されていた。特長は、機能を薄めたPhotoshopのバージョンではなく、フルバージョンのPhotoshopであること。デスクトップのアプリケーションと同じコードを使っているところが多く、シームレスな互換性をデスクトップとiPadの間で実現できる。デモでは、デスクトップで制作した200以上のレイヤーで数GBの大きさのPSDファイルをiPadで開いて見せた。

UIは、ツールを左側に表示し、レイヤーのテーブルを右側に表示している。ピンチやApple Pencilを使ってダブルタップをすることでズームアップも可能。iPad版のPhotoshopは2019年に提供予定。

■ドローイングとペインティングのiPad用アプリケーション「Project Gemini」

現在開発中のProject Geminiのプレビューも行われた。Project Geminiは専用の新しいドローイングとペインティングのiPad用のアプリケーション。Geminiにはたくさんのブラシ機能がアプリケーションの中に詰め込まれている。

ライブブラシは優れており、どれだけの水を使うかということもコントロールできる。美しく絵の具を使った描画やオイルペイントのブラシを選ぶことで触れるほどのリアル感のある油彩画が可能。Project Geminiは、iOS対応で来年対応予定。Windows版、Android版の対応も予定している。

■動画でも「コンテンツに応じた塗りつぶし」が可能になる。After Effectsの次世代機能をデモ

デスクトップアプリの話になるが、キーノートスピーチでAfter Effectsに今後搭載予定の新機能「コンテンツに応じた塗りつぶし」のデモは反響が大きかった。簡単にマスクを切り、「コンテンツに応じた塗りつぶし」をクリックするだけで映像から被写体を消すことができるようになるというものだ。

これまで動画から被写体を消したい場合は、フレームごとにPhotoshopで消して、After Effectsに戻す作業で実現していた。そのような作業は今後、After Effectsに搭載される「コンテンツに応じた塗りつぶし」を使うことによって簡単に行うことができそうだ。

馬が走る映像

映像から馬が消えた

展示エリアもMAX Japanの魅力

■映像系も見逃せないブレイクアウトセッション

Adobe MAX Japanは会場の複数ヶ所にステージが設けられ、同時多発的にブレイクアウトセッションが行われる。映像系のクリエイターは、「映像系のセッションは少ないんでしょう?」と思われる方が多いかもしれないが、「江夏由洋 × 中田拓馬 最先端映像制作の世界」や「Premiere Rushことはじめ-映像編集をやってみよう!」「VR動画編集の最新ワークフロー」などが行われた。

MAX Japanのセッションを実際に聞いてみると、いろんな知識が得られたり、ツールを積極的に使いたくなったり、さまざまな刺激が受けられる。自分のやる気をアップさせる意味でもぜひとも参加して聞いてみてほしい。

Adobe Creative Cloudの展示や工房が設置された展示ブースの様子

写真は「グラフィックデザイナー必見!IllustratorをCinema4Dで最強ツールにする方法」の様子

■アドビグッズを販売するMAX Store

アドビのグッズを販売するMAX Storeは今年も大人気で、購入には整理券が必要になる方式に変更された。クッションの人気はやはり「Ps」や「Ai」だという。今年は午後でもクッションは購入可能で、スーツケースと傘は売り切れていた。

今年も大人気のMAX Store

アイコンをデザインしたクッション。6種類のラインナップがある

Tシャツからタンブラー、コースターなど種類は豊富

アドビのスーツケースは完売!!