Fairlightはユニットごとに販売。バンドルセットも用意されている
Blackmagic Designは1月25日、メディア・インテグレーション、三友、共信コミュニケーションズと共催で、Fairlightを中心としたDaVinci Resolveのイベントを開催した。
Blackmagic Designは、InterBEE2018でFairlight ConsoleとFairlightコンソールオーディオエディターを国内で初めて公開し話題となったが、今回のイベントでは具体的な価格やFairlightの内容に関してさらに突っ込んだ内容が発表された。第2部で行われたFairlight&Fairlight Consoleの発表内容を中心に紹介しよう。
最初にBlackmagic Designの石井陽之氏がコンソールの販売について紹介。Fairlightコンソールは、基本的にシャーシがあり、中身はユニットごとの販売。ユーザー側で必要としているユニットを選択して組むことが可能。価格もユニットごとに設定されており、以下のような価格が紹介された。
各ユニットは別売りになっている。ユーザーのほうで必要としているユニットを選択して組むことが可能
- FairlightコンソールLCDモニター:142,800円
- Fairlightコンソールチャンネルコントロール:281,800円
- Fairlightコンソールチャンネルフェーダー:486,800円
- Fairlightコンソールオーディオエディター:465,800円
シャーシーは3種類用意されており、これまでに比べて購入しやすい金額になっているといえるだろう。
- Fairlightコンソールシャーシー2ベイ:910,800円
- Fairlightコンソールシャーシー3ベイ:1,098,000円
- Fairlightコンソールシャーシー5ベイ:1,378,000円
各コンソールはEthernetでの接続になっており、2ベイの場合はコンピューター、メインのGUI、DaVinci Resolveの操作画面を接続するモニターをHDMIかSDIで接続可能。すべてのEthernetで接続しているので、Aの部屋のプロジェクトをBの部屋のコンソールで触ることもでき、複数人でいろんなハードウェアを使って1つのプロジェクトを作業するとこも可能になっている。
Ethernetで接続してパソコンにつなげれば各端末をコントロールすることが可能
2ベイのスペックは幅1295mm、重量120kg、3ベイのスペックは幅1788mm、重量157kg、5ベイのスペックは幅2769mm、重量232kgとなっている。
Fairlightはユニットごとによる販売となるが、Blackmagic Design側によるバンドルセットも提供される。2ベイのバンドルセットは2,328,000円で、バラで買うよりも約10万円ほどお得で、3ベイのバンドルセットは約3,408,000円で、約12万円ほどお得、5ベイのバンドルセットは5,188,000円で、約44万円ほどお得になる。バンドル内容でOKということであれば、バンドルセットがお買い得だろう。
対応OSは、ソフトウェアはMac、Linux、Windowsのすべてに対応。ハードウェアに関してはWindowsのみの対応だが、4月から5月にはMac版でハードウェアが使えるようになる予定だという。
Fairlightを使いたいというユーザーの方で一番気になるのが、プラグインの対応ではないだろうか。DaVinci Resolve、Fairlight自体も標準でプラグインが多数入っており、VSTやAUに対応。キーボードをつないで音源の演奏も一応可能になっている。しかし、WavesやiZotopeが使えるのか気になるところだろう。今回のイベントではiZotopeのRXを使って、簡単にコネクトできる様子を紹介した。
iZotopeのRXがコネクトができるところを実演
Blackmagic Designでは編集からカラー、グレーディング、VFX、あとはFairlightとすべての機能を網羅している日本語化された「決定版ガイド DaVinci Resolve 15」を発売中。そのほか、全編Fairlightの機能を網羅したマニュアル「Introduction to Fairlight Audio Post with DaVinci Resolve 15」を現在日本語化しているという。こちらの本はAmazonストアで購入できるとのこと。
今回紹介したハードウェア関係は注文を開始しており、来月、もしくは再来月に納品ができるとのことだ。
Blackmagic DesignはFairlightに本気でコミットしている
続いてBlackmagic DesignのDaVinci Resolveプロダクトマネージャーのピーター・チェンバレン氏によるFairlightの紹介が行われた。
これまでのFairlightのコンソールと新製品のBlackmagic Designのコンソールは見た目は大変に似ているが、実は同じ部品を使っているのは足の部分だけ。ほかはすべてBlackmagic Designのオリジナルの製品になっているという。
フェーダーも新しくなっており、品質が向上。これらの基盤を含めたパーツは、すべてBlackmagic Designがデザインしており、すべてBlackmagic Designの工場で製造。製造はすべてロボットが行っており、手作業が入ることは一切ない。ラップトップPCと同じような信頼性でできているという。
工場で大幅に作り変えたりてはいるものの、実際の操作感はこれまでのFairlightとかなり似ている。「おそらく98パーセントぐらいは、今まで通り使えるだろう」とピーター氏。
開閉が容易になっており、簡単にハードウェアの点検や修理が可能。接続は電源とEthernetだけで簡単になっている。
シャーシにはめる「Fairlightコンソールオーディオエディター」と自立型の「Fairlightデスクトップオーディオエディター」はそれぞれ微妙にデザインが異なっている。机に自立するFairlightデスクトップオーディオエディターにはゴム足が搭載されており、机に乗るようになっている。
シャーシにはめるタイプのFairlightコンソールオーディオエディター
自立型のFairlightデスクトップオーディオエディター
インターフェイスに関しては、DaVinci Resolveの中にFairlightがすべて統合されており、自分の好きなワークスペースを作ることができる。タイムラインのみを表示しているパターンやミキサーを右に表示することもできる。すべての機能は、ハードウェアで操作ができるようになっている。
タイムラインの右にミキサーを表示
InterBEE開催後に追加された機能としては、9ピン設定でテープデッキをコントロールが可能。実際にコントロールしているところを実演してみせてくれた。
さらに、1月24日にリリースされたアップデートにより過去のFairlightのプロジェクトファイルであるDR2の読み込みに対応。小さいプロジェクトであれば数秒で読み込み、大きなプロジェクトであれば数分かかってDaVinci Resolveのプロジェクトにコンバートをしてくれるという。
Fairlightは、Blackmagic Designへの移行でハードウェアはモダンな使いやすいデザインになり、DR2が読めるようになることにより旧Fairlightとのコンビネーションもうまく使えるようになったとのこと。最後に、ピーター氏がBlackmagic DesignとFairlightの関係について語り、話をまとめてた。
皆さんの中では、Blackmagic Designというビデオの会社が、Fairlightというオーディオのテクノロジーに関してどういう考えを持っているか、というのを不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。それに対する答えは、すでに何百万ドル。つまり何億円も実は、Fairlightのコンソールに投資をしておりますので、その1点を見ていただいてもうちはFairlightにコミットしているというのがおわかりいただければと思います。
なぜ、単体のFairlightではなくて、DaVinci Resolveの中のFairlightとしたかというと、コラボレーションの機能があるからですね。FairlightがDaVinci Resolveに入ることによって、ほかのビデオエディターやカラリストなどと連携がとれるようになるからです。