三友は2019年1月29日~30日の2日間、東京・北青山にあるTEPIA先端技術館で「三友カメラ内覧会2019」を開催した。約10年ほど続いている毎年恒例の内覧会で、三友の取り扱うカメラやレンズ、モニターだけでなく、キヤノンマーケティングジャパンやソニービジネスソリューションなど、多数の企業が目玉の機器を展示する出展企業コーナーもある展示会になっており、見逃せないイベントといっていいだろう。

EVA1の新バージョンを展示−パナソニックシステムソリューションズジャパン

1月23日に発表した4K、IP接続、ストリーミング対応の新型ハンドヘルドカメラ「AG-CX350」や、コンパクトシネマカメラ「AU-EVA1」を展示。特に目を引いたのはEVA1のファームウェアアップデートEVA 3.0の告知だ。

これまでのEVA1でも4K60P収録が可能だったが、記録できるのは8ビットまでだった。今回のソフトウェアアップデートにより、HEVC LongGOP 200Mの「4K/UHD 59p/50p 420_10bit@200Mbps」や「4K/UHD 29p/25p/23p/24p 420_10bit@150Mbps」が追加され、4K60Pの状態で10ビットでの記録ができるようになった。

新型ハンドヘルドカメラ「AG-CX350」や4Kインテグレーテッドカメラ「AW-UE150」、コンパクトシネマカメラ「AU-EVA1」、31型4K液晶モニター「BT-4LH310」を展示

3.0ファームウェアアップデートを行ったEVA1のモニター。写真は新たに選べるようになったLongGOP 200Mの設定

3.0ファームウェアアップデート後のシステムインフォメーションの画面。すべてV3.00となっている

待望のフラッグシップモデルの新製品XF705を展示−キヤノンマーケティングジャパン

キヤノンは、デジタルシネマカメラ「EOS C200」や業務用デジタルビデオカメラ「XF705」「XF405」、業務用17型4Kディスプレイ「DP-V1711」を展示。その中でも注目は、昨年11月に発売したXFシリーズのフラッグシップモデルXF705だ。

XF705はXF-HEVC(H.265)を採用しており、非常に高圧縮で汎用性の高いSDカードに記録が可能。4K/4:2:2、10ビットをSDカードに収録できるのが大きなポイントになっている。XDCAMやSxSなどの専用メディアの場合は、メディアのリーダーなどの環境を一通りそろえなければいけないが、量販店で購入できるSDカードが使えるというのは魅力だ。

デジタルシネマカメラ「EOS C200」や業務用デジタルビデオカメラ「XF705」「XF405」、業務用17型4Kディスプレイ「DP-V1711」を展示

ProRes 422の10ビットの記録に対応した4Kメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC550」−JVCケンウッド

2/3インチHDメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC900」や4Kメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC550/500」を展示。その中でも注目は4K60PのハンドヘルドタイプのカメラGY-HC550だ。

特徴は、10ビット、4:2:2サンプリングによる高画質記録にも対応。通常のSDカードにProRes 422の10ビットの記録は到底無理だが、別売のSSDメディアアダプター「KA-MC100」を使用することで記録を可能にしている。

2/3インチHDメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC900」と4Kメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC550/500」を展示

GY-HC550は別売のSSDメディアアダプター「KA-MC100」を使用することでProRes 422の10ビットの記録を可能にしている

マイクロフォーサーズマウントに対応したMKレンズを展示−武蔵オプティカルシステム

放送用レンズのFUJINON UA24×7.8BEZDやFUJINON UA18×5.5BEZD、シネマレンズのFUJINON MK18-55mm T2.9/MK50-135mm T2.9を展示。

MKレンズは、マイクロフォーサーズマウントに変換してBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kと組み合わせてアピールしていた。武蔵オプティカルシステムでは、従来からMKレンズの販売を手がけており、隣ブースで出展するテクニカルファームではマウント変換のキットを取り扱う。2社のコラボレーションで実現した商品で、どちらかに問い合わせをいただければ購入できるという。

すでにMKレンズを持っているならば、マウント変換のキットだけを購入すればよく、Eマウントのネジを4つ外すことで取り換えが可能。決して難しい作業ではないという。

もともとはEマウントのMKレンズをマイクロフォーサーズマウント化。Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kと組み合わせて使用可能になる

アダプターはイギリスのMTF Services製のもの。MTF Servicesの製品をテクニカルファームで取り扱うということだ

Eマウントからネジを4本外すことで交換可能。自分で取り換えることができる

フットスイッチに対応したマルチフォーマットビデオミキサー「V-02HD」−ローランド

小型のビデオプロセッサー「VP-42H」、マトリックススイッチャー「XS-42H」、マルチフォーマット・ビデオ・ミキサー「V-02HD」を中心に展示。1月7日に発表されたAVストリーミング・ミキサー「VR-1HD」は展示していなかった。

中でも注目は、V-02HD。別売りのフットスイッチやエクスプレッションペダルを接続することで、足で切り替えられるのが特に好評だという。生配信番組の現場では、出演から配信作業まで一人だけという場合も多く、自分を配信しながらカメラを切り替えられる操作性が人気だという。

マルチフォーマットビデオミキサーの「V-02HD」。価格は75,000円前後

純正のフットスイッチ「FS-6」やエクスプレッションペダル「EV-5」

コンパクト4Kカメラモジュールを展示−テクノハウス

テクノハウスは、Victoremの4KSDI-MINI/コンパクト4Kカメラモジュールと4KSDI-MINI RS/コンパクト4Kカメラモジュールを展示。

コンパクトなサイズを活かして車載カメラや水中カメラとして使われたり、サッカーゴールやバスケットゴールの上から決定的瞬間を映すスポーツ中継のウォールカメラとしても使えないか?と問い合わせを受けているという。サイズが62mmと人間の目の間隔と同じのため、VR系の撮影に使う人も多いとのことだ。

Victorem 4KSDI-MINI/コンパクト4Kカメラモジュール(グローバルシャッター)。レンズのマウントはCマウント

12G/6G/3G/HD-SDI出力に対応

Victorem 4KSDI-MINI RS/コンパクト4Kカメラモジュール(ローリングシャッター)

シグマのシネレンズ新製品「28mm T1.5 FF」「40mm T1.5 FF」「105mm T1.5 FF」を展示−テクニカルファーム

テクニカルファームは、兄弟会社として新会社シネマレンズサービス合同会社を設立。その取り扱い商品であるシグマのシネレンズの新製品「28mm T1.5 FF」、「40mm T1.5 FF」、「105mm T1.5 FF」を展示。105mm F1.4 DG HSM | Artのフィルター径は105mmだが、新製品の105mm T1.5 FFのフィルター径は95mmに抑えられているのも興味深いところだ。

IBC 2018で発表された「28mm T1.5 FF」「40mm T1.5 FF」「105mm T1.5 FF」を展示

95mmのフィルター径に抑えられた105mm T1.5 FF

シネマレンズシリーズの「Leitz CINE LENSES」を展示−三友コーナー

内覧会の会場内に簡易スタジオが設置され、そこにはカメラが集中的に展示されていた。去年まではどちらかというとシネマ系のカメラが多かったが、今年はソニーやパナソニックの新型スタジオカメラが目立っていた。

三友の取り扱い製品であるLeitz CINE LENSESの展示も行われており、M 0.8シリーズの50mm f/0.95 Noctiluxが Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを組み合わせて展示されていた。M 0.8シリーズは、元々ライカのレンジファインダーででているのレンズを動画向けにモディファイしたもので、光学設計はレンジファインダーとまったく同じ。ギアやクリック感のない絞りなどを動画に向くように設計変更したものになる。

Leitz CINE LENSESシリーズ

レンズはレンジファインダーのMマウント。一般的なマイクロフォーサーズのアダプタを使うことでBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kで使えるようになる