キヤノンは、最大・全白輝度2,000cd/m2とコントラスト200万:1を実現した業務用31型4K/HDRディスプレイ「DP-V3120」を2019年11月下旬に発売する。希望小売価格はオープン、市場想定価格税別4,200,000円。

DP-V3120は、独自開発のディスプレイ用エンジン、独自設計のLED バックライトシステム、およびIPS液晶パネルの採用により、2,000cd/m2(最大・全白輝度)の高輝度表示が可能。これにより、映像内容によって輝度が変動することなく、明部の表示面積の大小にかかわらない安定した輝度表示が可能だとしている。

黒輝度表示性能を高めることで、200万:1の高いコントラストを実現し、撮影素材が持つダイナミックレンジを十分に生かし、より本来の明るさ・暗さで確認できる。HDRリファレンスディスプレイとして必要な高輝度領域でのきらめき感、暗部領域での黒く深い表現やS/N比を忠実に確認可能。映像が持つ本来の明るさが再現できるため、色合い・鮮やかさを含めて本来の自然で豊かな色表現が可能だとしている。

ドルビー・ラボラトリーズ社が推奨する映像制作ワークフローの要求仕様「Dolby Vision Certified Mastering Facilities Colorgrading Systems and Monitors Version 1.3」にHDRリファレンスディスプレイとして適合。輝度や色のずれを補正するキャリブレーションアプリ「DP-V Color Adjustment Ver. 1.4.0」(2019年11月下旬より無償提供予定)により、要求仕様に対して正確な補正が可能。

要求仕様の全項目「ピーク輝度/黒輝度/コントラスト比/色域/EOTF/Bit深度/サンプリング/グレースケール再現性/加法混色」において、いずれも「Preferred」として同等以上の性能を達成実現。

オンセットグレーディングのほか、VFX、編集、グレーディング、品質管理、上映評価などさまざまな用途において「ドルビービジョン」認証による要求仕様に適合した推奨環境での映像制作作業が可能。

映像制作現場を効率化する「マルチ表示機能」や「HDR/SDR 比較機能」を搭載。「マルチ表示機能」では、4K(6G/12G-SDI)と2K(3G/HD-SDI)の異なる映像信号を、2画面または4画面で1台のディスプレイに表示することが可能。「HDR/SDR 比較機能」では、HDR映像をディスプレイ内部でSDR映像に変換し、HDR映像とSD 映像の並列表示を左右で比較しながら確認することが可能。

HDRモニタリングアシスト機能のひとつ「2020色域外表示」

映像制作現場におけるHDR化の流れに対応し、撮影から映像編集作業までのHDR映像の制作ワークフローをサポートする「HDRモニタリングアシスト機能」を搭載。被写体の輝度や色を、数値や疑似色で可視化して表示確認できる機能や、画面内のHDR領域の割合や輝度推移が制作者の意図通りの映像に収録できているかを数値としてグラフで表示確認できる機能などを搭載。

「運用支援機能」では、ビデオペイロードID に定義されたPQ/HLG とSDR 方式などの識別信号をもとに、ディスプレイ側で画質設定の自動切り換えが可能。また、ワークフロー運用時のミス低減に寄与する警告やエラー履歴の表示なども行える。

本体の大きさは約幅749mm×高さ470mm×奥行き295mm(突起部除く)、重量は約31kg。従来機種より高輝度表示を実現しつつ、騒音を低減することで静かなポストプロダクションの編集室での快適な使用が可能。

HDR規格の1,000cd/m2 輝度表示での継続使用においても、2,000cd/m2(最大・全白輝度)設計により、SDR制作や1,000cd/m2 制作表示時に経年変化による輝度不足を心配することなく長期使用が可能だとしている。

12G-SDI端子(IN/OUT 各4系統)を搭載し、4K60P映像の送受信が、12G-SDI 対応ケーブル(別売り)1本で可能。8Kの入力信号から縮小した4K映像を1画面で確認でき、8K映像確認用途でも使用可能。4K映像制作のワークフロー同様に「HDRモニタリングアシスト機能」や「運用支援機能」などにも対応している。

なお、DP-V3120は2019年9月13日~17日までオランダ・アムステルダムで開催される国際放送機器展「IBC 2019」の同社ブース(ホール12/ブースNo.D60)にて展示予定だ。