Blackmagic Designは、Blackmagic URSA Broadcastのメジャーソフトウェアアップデート「Blackmagic Camera 6.7」を発表した。同アップデートには、Blackmagic RAWのサポート追加や、画質がさらに向上する新しいイメージ処理デザインの採用、レンズコントロールおよびオンスクリーン・コントロールなどの機能改良が含まれる。Blackmagic URSA Broadcastアップデートは2019年11月よりに提供開始予定。
Blackmagic Camera 6.7アップデートでは、新しいデモザイクアルゴリズムも追加される。URSA Broadcastカメラのセンサーレスポンスが向上し、色忠実度およびイメージの明瞭度が高くなるとしている。また、新しいセンサーリキャリブレーション機能がドット抜けを補正するため、全体的な画質も向上。イメージゲインコントロールは1/3ストップずつの調整に対応する。より細かなコントロールが可能となり、ノイズの少ない明瞭なイメージが得られるという。
同アップデートにて、URSA BroadcastにBlackmagic RAWのサポートが追加された。BlackmagicのエンジニアチームはURSA Broadcastのイメージセンサー用に特殊なセンサープロファイルを開発。Blackmagic RAWはカメラがイメージをどう捉えるか認識する。ノイズ管理、センサープロファイリング、エッジ再現アルゴリズムなどを用いて、高品質・視覚的ロスレスのイメージが生成されるとしている。
すべてのデータがBlackmagic RAWファイルに保存されるので、ゲインやホワイトバランス、露出、コントラスト、彩度などのカメラ設定を撮影後に変更可能。また、Blackmagic RAWでは、撮影中にLUT適用して、ファイルにメタデータとして保存できる。これによるデータ損失は生じない。また、カメラのRAWセンサーで捉えた全データがファイルに保存されるため、後で編集することも可能。
URSA Broadcastは、日本語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ロシア語、トルコ語、中国語、韓国語と、11言語に対応。言語を切り替えると、オンスクリーンオーバーレイ、セットアップメニュー、モニタリング情報のすべてが選択した言語で表示される。
また同アップデートにて、B4レンズの歪み(色収差など)を補正するイメージ調整コントロールや、VTRの再マッピング機能、B4レンズ用のリターンボタンを追加。タッチスクリーンではフォーカスコントロールの長押しが可能になり、ショットのフォーカス合わせが高速かつ簡単となる。さらにURSA Broadcastは、これまで以上に幅広い種類のB4放送レンズおよびCanon EFレンズに対応した。
さらに、SDIの入出力における720pのサポートなど、ユーザーからリクエストされた機能も新たに追加となった。トークバックのサイドトーンも調整でき、カメラマンは騒がしい環境で大声で話しながら、イヤホンで自分の声をミックスダウンできる。ラインレベルのマイク入力も調整可能になった。SDI入力されるタイムコードへのロックも可能になり、ジャムシンクの正確性も向上し、再起動してもタイムコード同期が維持される。
HDRメタデータパッキング、SDIを介したHLGおよびPQ転送特性(ST2082-10)のサポートも追加。カメラの機能ボタンも無効化および再マッピングが可能となった。HFRボタンも無効化できるため、ショット間でフレームレートが誤って変更されるのを防げる。オーディオに関しては、URSA Broadcastのオーディオアラインメントレベルが-18dBと-20dBから選択可能。
Blackmagic OSもアップデートされ、ゲインスライダーに1/3ストップの単位を追加。ヘッドアップディスプレイでメディアをすばやく変更できる機能や、プリセットタイムコードおよびLUTの使用状況に関する新しい「PRE」および「LUT」アイコンも追加された。さらに、2:1、1:1、5:4のフレームガイドと、カスタムフレームガイドのオプションも追加。メディアのフォーマット用のインターフェースも改良され、より直感的な使用が可能となり、カードのフォーマットを誤って実行してしまう可能性が低くなったとしている。
オーディオメーターのディスプレイに関しても、バリスティクスが改善され、リファレンスレベルを-18dBまたは-20dBに設定できるようになるなど強化されている。
また、Blackmagic Camera 6.7アップデートで全体的なパフォーマンスも向上し、外部リファレンスまたはオーディオがエンベッドされたソースを使用する際の信頼性も高まった。さらに、オートフォーカスや自動露出を使用する際の熱管理も向上し、名前が変更されたクリップの再生も改善されている。Blackmagic URSA Broadcastアップデートの主な機能は以下の通り。
(以下、プレスリリースより引用)
- 新しいディベイヤーアルゴリズムを含む、新しいイメージ処理パイプライン
- Blackmagic RAWサポートの追加により、映画制作のワークフローに対応
- 11種類の言語をサポート
- B4、PL、EFレンズのサポートを強化
- 720pのサポートなど、放送制作向けの新機能を追加
- Blackmagic OSをアップデート。オーディオメーターの改良など
- バグを修正、サードパーティ製機器使用時の安定性が向上
Blackmagic DesignのCEO グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。
Blackmagic RAWをサポートしたことで、URSA Broadcastでハイエンドのデジタルフィルム画質と驚異的に小さいファイルサイズが実現します。放送業界のユーザーは、他のあらゆるビデオフォーマットより小さく高速なファイルで、劇的に優れた画質を得られます。非常にエキサイティングです。メタデータを使用して、放送用ビデオのルックをイメージに非破壊的に適用し、即座にオンエアすることも可能です!
なお、同アップデートは、2019年9月13日~17日までオランダ・アムステルダムで開催される国際放送機器展「IBC 2019」の同社ブース(ホール7/ブースNo.B45)にて展示される。