© 2019 Image Eleven Productions, Inc.
Blackmagic Designの発表によると、ゾンビ映画「ザ・デッド・ドント・ダイ」のVFXに、ChimneyがDaVinci Resolve Studioを使用したという。同ソフトウェアのコラボレーション機能を使用して、同社はニューヨーク市とスウェーデンのヨーテボリの両都市においてリアルタイムで共同作業を行った。また、Fusion Studioが一部のVFXに使用された。
「ザ・デッド・ドント・ダイ」は、のどかな田舎町であるセンタービルにおけるゾンビとの戦いを描く作品。同作は、監督にジム・ジャームッシュを迎え、出演者にはビル・マーレイ、アダム・ドライバー、クロエ・セヴィニー、ティルダ・スウィントンなどのキャストが名を連ねている。
Chimneyは、同作のためにニューヨークとヨーテボリで同時に作業を行い、300ショット以上のVFXを作成した。ジャームッシュ監督とフレデリック・エルムズ撮影監督はニューヨークに拠点を置いているため、Chimneyはリアルタイムで両都市のスタッフが協力して、綿密に連絡を取り合いながら作業を行えるソリューションが必要だったという。VFXの制作過程で、関係者と意見交換をしながら、変更点を正確に適用することは、同作の制作において必須だった。
ChimneyのVFXスーパーバイザーのサム・オヘア氏は次のようにコメントしている。
オヘア氏:本作は、ジムにとってVFXを多用した初めてのプロジェクトだったので、全ての段階にわたって、弊社のスタッフと連絡が取れ、安心感を与えられるようにしたかったんです。
同社は、DaVinci Resolve Studioのコラボレーション機能を使用して、リアルタイムでEXRシーケンスのレビューを行なった。
オヘア氏:各都市のスタッフが同じフッテージを同時に見ながら、リアルタイムで電話で作業について話し合える必要がありました。DaVinci Resolve Studioでは、それぞれのスタジオからEXRシーケンスを共有できたため、それらをプロジェクトにロードし、共有して再リンクし、リモートセッションを行いました。これにより、両都市でリアルタイムで、完全な品質のEXRをすべて見ることができました。
ジムとフレッドは、ニューヨークでそれらの映像を見ながら、ヨーテボリのスタッフであるVFXプロデューサーのアンドリアス・ヒランダーとVFXスーパーバイザーのアレックス・ハンソンに直接コメントを伝えることができました。このような電話会議で、アンドリアスとアレックスも同じフレームを確認しながら会話できたので、的確に指示を把握できました。
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ヒランダー氏:本作は、ほとんど日中に撮影され、夜間のシーンに見えるように撮影後にグレーディングが施されていたため、そのような高度にグレーディングが適用された状態でもVFXがはっきりと見えるようにすることが難しかったですね。LUTを使用した従来の方法は、うまく機能しませんでした。そのような効果を生み出すために、グレーディングは多数のマスクやキーが使用されていたからです。しかし、DaVinci Resolve StudioでVFXからのオリジナルのEXRを使用していたため、すばやくグレーディングを調整でき、VFXショットをやり直す必要があるか、グレードで修正できるかを確実に識別できました。
オヘア氏:DaVinci Resolve Studioでは、グレードの最新のカラー情報を使用できたため、常にルックは最新の状態でありながら、オリジナルのフッテージは下に残っているので、必要に応じて2つのフッテージを簡単に比較できました。
ジャームッシュ監督は、このワークフローのおかげでレビューが簡単に行えたと語る。
ジャームッシュ監督:外国にいるスタッフと作業するのは、ほとんどの場合、本当に難しいものです。特にエフェクトなどの視覚的な面では多くの困難が伴います。しかし、Chimneyは本作にDaVinci Resolve Studioを使用したため、ニューヨークから離れることなく、即時にスウェーデンのスタッフと円滑に意思の疎通が図れました。最新技術には驚かされますね!
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Chimneyは、世界11都市にスタジオを構えているため、コラボレーション機能はあらゆるプロジェクトにおいて欠かせない重要な機能だ。
オヘア氏:このような仕事では、コミュニケーションと高速なデータ転送が極めて重要です。弊社のバックボーン回線では、非圧縮シーケンスを高速に送信できるため、別の都市にあるスタジオで同じフッテージを使用できます。このシステムは世界各地のオフィスとのコラボレーション作業において、非常に重要です。
異なる都市間で共同作業を行うために、DaVinci Resolve Studioのリモートグレーディング機能を頻繁に使用しています。しかし、VFXに関してもこのような作業を用いたのは、このプロジェクトが初めてでした。互いに6000km以上離れた場所から、フル解像度と品質で、最新のカラーの変更が適用された全フッテージを一緒にリアルタイムで確認できるというのは、本当に画期的なことですね。監督、撮影監督、他都市のVFXチーム間のコミュニケーションが、滞りなく円滑に、リアルタイムで行えたため、全過程を通してコラボレーションがスムーズに機能しました。複数のプロジェクトを異なるスタジオで常に扱っている国際企業として、このレベルのコラボレーションは、ビジネスを成功させていくために極めて重要です。
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オヘア氏と同社のスタッフは、一部のVFXにFusion Studioも使用した。特に、古びた双眼鏡のシーンで集中的に使用された。
オヘア氏:登場人物の一人であるボブは森に住んでいるんですが、監督のジムからの依頼は双眼鏡越しの映像を汚れたレンズを通したように見せたいというものでした。また、レンズにヒビが入っているようにもして欲しいと指示を受けました。
監督の希望するルックを実現するために、Fusion Studioの多数のツールを使用しました。割れたレンズを模倣するために、ロトスコープしたシェイプにディスプレイスメントやオフセットを適用しました。双眼鏡越しの映像には、汚れや埃などのレイヤーを追加しました。
また、双眼鏡を覗いていることを表現するために多用されている、黒い画面に2つの円の映像を表示する効果には、多数のマットとキーを使用して、外からの光が双眼鏡内部に反射して黒い領域に広がっているように見せました。ディスプレイスメントは、割れたレンズ越しの視点のショットの動きに反応するように作られました。一部のショットはカメラの動きが含まれていましたが、他のショットにはFusion Studioの変形ノードで、ネスト化した複数のPerturbモディファイアーを使用して、マッチする動きを構築しました。