Blackmagic Designの発表によると、世界で最も長い歴史を持つ、アメリカ最大のカントリーミュージックの祭典「WE Fest」にて、Ultra HD 12G-SDI/光ファイバーライブプロダクション・ワークフローの一環として、ATEM Constellation 8Kライブプロダクションスイッチャーが使用されたという。

2019年8月、ミネソタ州デトロイトレイクスで3日間に渡って繰り広げられたWE Fesは今年37周年を迎え、クリス・ステイプルトン、キース・アーバン、ブルックス&ダン、リアン・ライムスらがパフォーマンスを披露した。

ペンシルベニア州に拠点を置き、フルサービスを提供するビデオプロダクション会社Upstage Videoが構築したフライパックは、ATEM Constellation 8Kを中心に、Blackmagic DesignのSmart Videohub 12G 40×40ルーター、ATEM 2 M/E Broadcast Panelなども採用。このUltra HD 12G-SDI/光ファイバーフライパックは、コンサートツアーやミュージックフェスティバルに特化して設計されており、WE Fesのスイッチングや、2面の17×27フィートのステージスクリーンおよび12×21フィートの正面スクリーンへのビデオ配信、ライブビューイング用の配信、VIP用キャンプ場や関係者席への同時放送などを担った。

Upstage Videoのプロジェクトマネージャーであるグレッグ・ブラウン氏は次のようにコメントしている。

このフライパックの面白い点は、モジュラーデザインにより、3つのラックに分けられる点です。監督用のラックはステージ正面に設置しています。

アメリカでは、ほとんどの監督がステージ裏に設置しますが、イギリスでは、照明などを確認するために正面に設置することが多いですね。しかし、アメリカにおいても、正面に設置する監督が徐々に増えてきています。ショーや観客からエネルギーをもらうためでしょう。バックステージではこれは得られませんからね。監督が舞台正面で使用し、エンジニア関係はバックステージにまとめるというフライパックを開発することは、私たちにとって非常に重要でした。

監督用のラックには、ATEM 2 M/E Broadcast Panel、SmartView 4KおよびSmartScope Duo 4Kモニター、Teranex Mini SDI to Audio 12Gコンバーターが搭載された。このラックはCCUラックと接続されているが、そこにはATEM Constellation 8K、Smart Videohub 12G 40×40およびVideohub Smart Control、Audio Monitor 12G、Mini Converters Optical Fiber 12G、そしてGPI and Tally Interfaceが搭載されている。3つ目のラックは、エンジニアラックで、追加の複数のMini Converter Optical Fiber 12Gやメディアサーバーを搭載。フライパックを設計した際、Upstage Videoは手頃な価格の多機能スイッチャーを探していたという。

ATEM Constellation 8Kを一目見て、まさにこれだと思いました。割り当て可能な24個の12G-SDI出力のおかげで、必要なルーティングの量を減らすことができたのは大きかったですね。内蔵のFairlightオーディオミキサーも重宝しています。WE Festで、ステージからフィードされるアナログオーディオを、収録用のビデオフィードやライブビューイング用のテレビフィードにエンベッドする際にとても役立ちました。

さらにATEM Constellation 8Kはあらゆる解像度およびフレームレートを受信して変換できます。これ自体すばらしい機能なのですが、遅延を最低限に抑えることにも役立っています。ライブ・エンターテインメントの世界では、遅延を最小限、理想的には6ライン以下の処理遅延に抑えることが、マルチビューの場合でも不可欠です。

3日間に渡るフェスティバルで、毎日4~6のパフォーマンスが行われており、さらにパフォーマンスごとにニーズやセットアップが異なるため、入念な準備と気持ちのゆとりが鍵となるという。

イベント開始の数週間前から、パフォーマンスを把握するため最善を尽くしますが、出演者たちは自分たちのツアーを行なっている場合が多いため、なかなか難しいですね。WE Festでは、パフォーマンスの映像監督にショー当時の朝に会場入りしてもらい、ニーズにすばやく対応したことで、彼らはリラックスしてショーに集中することができました。

このような感じでしたので、外部機器を使用しなくても、ATEM Constellation 8Kだけで異なる解像度やフレームレートを受信して変換できる機能は、まさに理想的でしたね。40個の12G-SDI入力が搭載されていることで、午前中のうちに、すべてのパフォーマンスに必要な接続に対応できたので、パフォーマンスの合間にケーブルをパッチ接続する必要はありませんでした。

他に決め手となったのは、HD、Ultra HD、8Kを扱えるATEM Constellation 8Kの柔軟性であったという。

現在必要ないとしても8Kに対応可能であること、そしてUltra HDでも最大限に活用できることを考え合わせると、この価格で購入できるATEM Constellation 8Kは本当に優れていますね。